観光地における顧客レス発想の一つとして、「いろいろあります」というアプローチである。
歴史的な寺社があります。特徴的な滝があります。名産物があります。という感じ。
これは、一見、顧客の様々なニーズに対応しているように見えるが、実際には、地域内のバランスや、各関係先の利害調整の結果であることが少なくない。つまり、顧客がそれらを魅力的に感ずるか否かではなく、地域内の事情からアピールポイントを決めている。言い方を変えれば、絞り込むことが出来ず、なんでもかんでも載せざるえなくなっているということである。
例えば、中小の宿泊施設が多く立地しているある地域では、「平等」のために、それらの施設全てを取り上げざるを得ない状況になっている。そのため、ホームページには、何ページにもわたってずらずらと宿泊施設リストが並んでいる。ただ、その中にはがんばっている施設もそうではない施設もある。それらが「平等」に並んでいる事は、本当に顧客のためであろうか。そもそも、宿泊施設リストをホームページに掲載することは何のためか。顧客に施設の情報を知ってもらい、自地域を知ってもらい、来訪してもらうためではないのか。
公共である以上、「平等」な対応が必要。とはよく言われる。この背景には、税金だから平等に使わないといけないという考え方があろう。
が、税金だからこそ有意義に使わなければならない。という視点もあるのではないか。

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