Discussion of Destination Branding.

オーランド90日目 〜DMOとDMC

とうとう、90日目となりました。
(免許取得のような)イレギュラーなことがなくなり、定型化された日々になったとたん、1日の進行が早くなりました。
「なじむ」というのは、こういうことなのでしょうね。
さて、90日目を記念して。と言うことでもないですが、私が別途、事務局をしている「観光地マーケティング研究会 http://www.cs-t.jp/index.php 」のメーリングリストとの連携記事を投稿します。(一石二鳥とも言う)
こちらでは、地域での観光推進組織を、DMO、DMCという2つに区分して整理しています。
前者は Destination Marketing Organization
後者は Destination Management Company
の略称です。
前者は、従来、CVB(Convention Visitors Bureau)と呼ばれていた物が、ディスティネーション・マーケティングを行う機関として、よりそのキャラを明確にするために、新たな名称となった物です。
一方、後者のDMCは、地域において、ホテルや交通、アトラクションなどをパッケージングし、それを提供するような民間組織に対する呼称です。日本だと、「着地型旅行会社」が対応する概念ではないでしょうか。つまり、ディスティネーション(着地)において、顧客に応じて、いろいろな資源を組み合わせ、それを提供する会社となります。
DMOもDMCも同じ、Mが入っていますが、前者は、Marketing、後者は、Managementというのが、最大の違いであり、両者の性格の違いを如実に示しています。そして、ここに、日本と米国との大きな違いがあるように思うのです。
端的に言えば、DMOに相当する役割、組織が、日本には欠けているのではないか?ということです。
DMOは、前述の通り、Destination Marketing、日本語で言えば観光地マーケティングを担う組織です。では、この観光地マーケティングとはなんなのでしょうか。
そもそも、マーケティングの定義自体が、いろいろあるのが実情です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0
ただ、その基本的な要素を示せば、以下のように整理できるのではないでしょうか。

  1. 自らの顧客を知る
  2. 自分たちが、顧客に提供できる価値を知り、それを創造する
  3. 創造した価値を顧客に伝え、経験してもらう
  4. 顧客が持続的に、自らの顧客で居続けるようにする

つまりは、自らの適性(資源性)に合致した市場を創り、それを維持することと考えることが出来ます。これは、極めて戦略的な取り組みとなります。
マーケティングは、前述したように、「市場を創る」ことと、「市場を維持すること」の2つの要素があります。従来は前者が主体でしたが、今日のような環境では、後者の重要性が高まっていることが、私のテーマにしているCS研究に繋がっています。
ただ、前者がなければ、後者は無い訳で、前者の重要性は変わっていません。むしろ、困難度が高まっている分、より重要であると考えることも出来るでしょう。
そして、この部分の取り組みが弱いように感じるのです。端的に言えば、「顧客志向」になっていないように感じるのです。
このことは、過去にもこのブログで触れています。
http://www.resort-jp.com/ppBlog17/?UID=1122626882
私は、マーケティング(の前段部分)をよく「漁業」に例えます。
マーケティングとは、魚がどこにいて、どんな習性をもっているのか、市場への卸値はいくらくらいか、どの位捕れるのか、それにはどれ位コストがかかるのか、他の漁船とは競合しないか、魚が他の漁船ではなく自分を選んでくれるような仕掛けを十分に設置できるのか、捕った魚を新鮮に市場まで運べる装備を持っているのかなどを総合的に考え、漁場、魚種、漁船の装備、時間などを設定する行為に例えられます。ちなみに、セールスとは、漁場に着いたときに、仕掛けにより魚が入ってくれるように、撒き餌を巻いたり、集魚灯を点灯させるような事に過ぎません。つまり、そこに魚が居なかったり、居たとしても適切な仕掛けが設置されていなければ無意味です。
わかりやすく、観光地マーケティングをターゲッティング(どんな魚を対象にするのか)と、ポジショニング(魚から見た仕掛けの評価)で、見てみましょう。というのは、ターゲッティングは意識されているところは少なくありませんが、ポジショニングを踏まえたターゲッティングとなっているかといえば、疑問符が付くからです。
もし、競合する漁船がおらず、魚が腹を空かした状態ならば、ポジショニングを考えなくても、問題はありません。これは、シーズから新規市場を創造したり、他者が参入しないようなニッチ市場を抑えている場合が該当します。
ただ、観光地マーケティングで見てみると、単に、「今、注目されている市場だから」という理由で、その市場をターゲットにしているだけのところが多くないでしょうか。当然、注目されている市場は、競合も沢山あります。しかも、その競合先とは、他の観光地にとどまらず、TVゲームや、ショッピングセンターなども含まれるのです。とても、無視したまま、対応できるような話ではありません。
つまり、ターゲッティングしているつもりに過ぎないということです。
この分野については、まだまだ、研究の余地が多いと感じています。
一方、DMCに対応するマネジメントについては、進んできていると思っています。まだまだ、大手の旅行会社が強い分野ではありますが、もともと、観光協会は、地域のイベントの実行委員会事務局機能を担うことが多いですし、供給者の立場から品質を高めるというのは、多くの日本人が得意とする分野であるからでしょう。
なお、参考ブログ記事に示した生産志向、製品指向、販売志向は、このマネジメントと直結する分野と考えることが出来ます。
よって、DMOとDMCの両者は、密接に関係しており、不可分な部分が多いことが解ります。ですが、販売志向と顧客志向の間には大きな壁があることや、実際、一定規模以上の製造業では、マーケティング部門と、技術面を含む商品開発部門が分化し、両者が協働することで製品開発を行う事が一般的であるように、両者に求められる能力、視点が異なることは明確です。
マネジメント分野の強みを、強みとして発揮していくためにも、マーケティングがとても重要となっているのではないでしょうか。

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