以前、以下のような投稿を行った。
オーランド133日目 〜フラット化とカーブ化
ここでは、ITを中心としたまとめ方をしたが、こうした「カーブ化」すなわち、偏在は、実は各所で起きていることを、観光庁の「宿泊観光統計」を元に示してみたい。
2008年(暦年)の資料に寄れば、外国人の宿泊延べ人数は、22,248,300人に達している。この人数は、日本人を含めた全宿泊延べ人数に対して、7.18%となる。
しかしながら、都道府県別に「外国人宿泊比率」を見てみると、トップの東京都の20.44%に対して、群馬県や鳥取県、島根県のように1%にも達しない県も少なくない。その結果、都道県別の平均値を算出してみると4.3%と、前述の全国ベースの数値とは大きな差が生じることにもなっている。
現在、日本では、インバウンドの振興を図っている。では、この振興によって、現在、外国人宿泊比率の低い道県にも多くの外国人が来るようになるのだろうか。地域振興の観点から考えれば、それが理想ではある。
しかし。おそらくは、こうした「平準化」は起きないであろう。なぜなら、こうした「偏在」こそが、実は、自然な姿であると考えられるからだ。
パレート法則という考え方がある。これは、経験則によるものでもあるが、2:8の法則というように、全体の2割で、8割のシェアを持つといったものである。この観点で、47都道府県のうち、上位の2割(9都道府県)における外国人宿泊者数の全国値に対するシェアを算出すると、75.28%に達する。これは、2:8の法則には今一歩であるが、ほぼ、同様と言って良いだろう。
すなわち、都道府県別に見た偏在は、パレート法則に乗っ取ったものであり、ある意味、とても安定した状態であるということだ。
むしろ、2:8の法則に従えば、もっと、偏在が進むことも考えるべきだろう。
こうした偏在は、おそらく、各都道県の中でも生じているし、各観光地、リゾート地の中でも生じているだろう。
米国であっても、どこでも観光客が居るわけではない。オーランド内のホテルが、皆、同じ状態でもない。
では、残りの8割になってしまう地域、施設には、希望はないのだろうか。
ここで、重要になってくるのが、「セグメント・マーケティング」である。Amazonのロングテールでも触れられていたように、「非常に特殊な製品やサービスであっても、それを好む人たちが存在し、かつ、インターネットの普及、もしくは、グローバル化の進展によって、それらの人々が製品やサービスを購入することが可能」になっている。すなわち、量は確保できなくても、その魅力に対応する顧客に適合することで、単なる安売りではなく、付加価値を確保することを検討できるようになっている。
そのために必要な事は、「自身のリソースをもとに、特定の顧客層に向けた差別化した魅力を作ること」「その情報を世界規模で発信する事」「商品購入(来訪)の障壁を下げること」の3つが必要になるのでは無いだろうか。
いずれにしても、平均にこだわるのではなく、偏在を意識し、自身の位置づけを、より的確に把握することが必要であろう。

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