今日は、久しぶりに買い物のため、ウォルマートに行った。
(いつも、食材だけなら、近場のスーパーですませてしまうので)
このウォルマートは、いわゆるディスカウンターであるが、日本と異なるのは「総合」ということだ。
日本でも、ディスカウンターはあるが、日本のディスカウンターは、「総合」ではなく、「カテゴリーキラー」となっている。電気、生鮮食料品、または、雑貨などだ。
米国でも、こうしたカテゴリーキラーが、一時期、市場を末席したが、その後、ウォルマートが勢力を伸ばし、カテゴリーキラーのほとんどを市場から撤退させてしまった。今では、AV系のBestBuy、おもちゃのトイザらス、または、スポーツ用品のスポーツオーソリティーくらいしかカテゴリーキラーは、存在しない。しかも、オーランド周辺で見る限り、それらのカテゴリーキラーの中で、元気があるのは、BestBuyくらいで、その他は著しく精細を欠いた状態にある。
そのウォルマートに行ってみると、広大な店舗スペースをもち本当に何でも売っている。
薬、文具、洋服、靴、玩具、手芸用品、食器、自転車、スポーツ用品、釣り、キャンプ用品、(白物以外の)家電、AV、DVD、CD、生鮮食料品、タイヤ!を含む自動車用品、ガーデニング用品などなど。さすがに、ハンティング用の猟銃の弾まで売っていたのには、びっくりした。
しかも。安い。
さすがに、カテゴリーキラーの店舗に比べれば、それぞれのジャンルの品揃えは乏しいが、おそらくは、POSシステムと来訪客の嗜好を見極め、売れ筋にしぼりこんでいるのだろう。こちらにきて、5ヶ月の中でも、その品揃えがどんどん変わっていくからだ。
(客筋の関係で、いわゆる高級品は無い。それはそれは、ものの見事に)
このウォルマートは、大衆向けのリアル店舗としては、もう敵無し状態。次なる標的は、バーチャル店舗の雄「アマゾン.com」。
では、ウォルマートのような形態が、日本で成立しうるかといえば、難しいかもしれない。
日本では、ウォルマートの客層となるような「低所得・大衆」が、目に見える形でセグメンテーションされていないからだ。
例えば、日本の郊外にある大型SCは、ウォルマートに近い形態だが、その作りから解るように、アッパーミドル階層くらいまで、その階層として取り込んでいる。実際、休日の駐車場には、高級車の姿も少なくない。
一方、ウォルマートは、基本的に「低所得者層」が対象だ。客層を見ていると、非常にわかりやすい。身なりやスタイルのよいアメリカ人の姿は、ここにはない。しかも、カード社会の米国であるにも関わらず、レジでも、半数以上の人たちが、現金払いだ。
私などは気にしないが、おそらくは、それなりの所得、社会階層に居る米国人は「ここは自分たちの店舗ではない」と判断し、立ち寄ることは無いのだろう。
良くも悪くも、そうした、社会的なセグメンテーションがはっきりしているのが、米国である。
私は、日本で、マーケティングがあまり注目されなかった理由は、こうしたセグメンテーションの混乱があったためではないかと思っている。日本の場合、客層が団子になっていて、明示的に別れていないし、客の側もそれをあまり気にしない。そのため、セグメンテーションを分ける必要が無かったからだ。
でも、日本でも、こうしたセグメンテーションは、徐々に芽生え初めているし、さらにいえば、今後、インバウンドを考える際には、こうしたことを考えないと、客が納得しないだろう。
良いか悪いか、好む、好まないという話では無く。

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