昨年末に帰国し、日本でクリスマス、年末年始を過ごしました。
その中で感じた事は、いくつかありますが、いやまぁ、いろいろ「安売り」しているなぁ。ということ。
ただ、絶対的な価格で考えれば、円高のせいということもありますが、米国の方が安い印象が強いです。
例えば、米国では、1,000ドル。つまりは、10万円を超えるノートPCなどほとんど店頭には並んでいないのに対し、日本では、20万円を超えるノートPCが、多く並んでいます。私は私用ではマックに切り替えていますが、最低でも10万円以上となるMacBookは、米国では高額ですが、日本ではむしろ低額に見えるほどです。
ただ、これは、日米での商品ラインナップの違いから生じているものです。米国の場合、安いものは、機能をそぎ落として安くなっているか、古いもの(シーズン遅れのもの)の2つに大別できます。後者は日本でも同様ではありますが、大きく異なるのは前者でしょう。
例えば、ノートPCでいえば、いわゆるネットPCやその派生機種で、かつ、機能的にもシンプルなものが米国の販売店では主流なのに対し、日本では、例えばテレビ録画機能などを内蔵した高機能機が、多く店頭に並んでいるという違いがあります。TVなども同様で、米国のデジタルTVは、ほぼ画面サイズのみが差別要因になっているのに対し、日本では、録画機能とかダブルチューナーとか多様な付加機能が差別要因になっています。
この辺は、携帯電話なども顕著でしょう。米国では、私が常用していたブラックベリーや、iPhoneのようなスマートフォンが普及している一方で、通話機能に特化する代わりに非常に安価な携帯機種も多く存在しています。実際、私が予備で持っていた携帯電話はわずか$15です。
これに対し、日本の携帯電話は、基本的に、皆、多機能型となっています。
ホスピタリティ産業で見るとどうでしょう。オーランド周辺のホテルは、かなりダイナミックにその価格を変動させています。また、ユニバーサルスタジオなどは、かなり攻撃的な安値攻勢をかけています。また、WDWも、年間パスを+3ヶ月、つまり計15ヶ月にするという実質値下げを行っています。ただ、これらは、単に安売りをしているというのではなく、各社の戦略が背景にある値付け、安売りとなっているのだなぁという事が感じられます。
例えば、ホテルは、よく言われるように在庫が持てません。となれば、オフ期の稼働率をいかに高めるかが非常に重要となるわけです。オーランドのホテルの場合、週、もしくは、日単位で集客予測を行っており、その収益最大化のために価格をダイナミックに変動させているところが少なくありません。
また、ユニバーサルスタジオは、もともと、州外から来る客の目的はWDWですから、景気後退によって顧客の財布が厳しくなる中で、選んでもらうことはとても重要です。そのための攻撃的な値下げとなります。一方のWDWは、年間パスのお得感を高める事で、短期的な集客を狙うのではなく、中長期的な視点で地元客の囲い込みを進めることに狙いをおいているのでしょう。
このように、単に安売りをするのではなく、戦略と連動させた値付け、価格設定が行われているように感じられます。
一方で、日本の場合。さて、これは、どうなんだろうと思ったのが、以下の記事。
「新成人は入場無料 ハウステンボス、九州在住者限定」
http://www.asahi.com/business/update/0102/SEB201001020044.html
私が疑問に思うのは、3つの点。
まず、「これから社会の中心となる人にリピーターとなってほしい」とありますが、米国での研究で、安売りで惹き付けた顧客はリピーターになりにくいという結果が出ており、入場無料にすることはむしろ逆効果であること。
次に、新成人を対象にすると、おそらくは、新成人のグループでの来訪が多くなるだろうと言うこと。無料入場者の数ばかり増えることになります。これを、例えば、新成人の「女性」限定としてやれば、男性は有料になりますから、だいぶ、印象が変わってくることになるでしょう。
最後に、「成人の日に次いで人生の節目となる『結婚』も、ハウステンボスでイメージしてもらえれば」とありますが、これを真の目的にするなら、ブライダルの説明会に出たカップル、もしくは女性グループは「無料券」を出すといった取り組みが必要でしょう。あまりに、連携が弱すぎでしょう。
そもそも、ハウステンボスの入場料は、現在、3,200円。さらに、ネットで探せば、非常に安価なチケットが流通しているのが現状。(これは、優待券が大量に出回っているためのようです)
つまり、「価格」が集客のネックになっているわけではない訳です。
そうした中で、こうした取り組みを行うのは。さて。どうなのでしょう。
そんなことを、新年早々。思いました。

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