どうやら、ハウステンボスの新しいスポンサーに、HISが決まったようだ。
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ハウステンボス、4月から新体制…HIS発表
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100212-OYT1T01320.htm
 旅行業大手エイチ・アイ・エス(HIS)は12日、長崎県佐世保市の大型リゾート施設ハウステンボス(HTB)の支援に乗り出し、4月から新体制に移行すると発表した。
 HTB内で記者会見したHISの沢田秀雄会長は、施設にアウトレットモールを整備する構想や遊休施設をコールセンターとして有効活用する考えを示した。園内の一部を無料地区として開放するほか、入場料の値下げを検討することを明らかにした。
 再建計画では、HTBの親会社である野村プリンシパル・ファイナンスが保有する資本金125億円を100%減資し、新たにHISが20億円、九州電力など九州の主要企業4社が計10億円を出資する。
 1992年に開業したHTBは入場客の減少などで業績不振に陥り、2003年に会社更生法の適用を申請、経営再建中だった。
(2010年2月12日22時29分 読売新聞)
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ハウステンボスは、1992年に開業。初期投資は(借入金だけで)2,250億円。
2003年に一度、破綻している。その際の負債額が2,289億円との事だから、開業10年の間に、借入金の「元本」を返済することが出来なかったということになる。
http://www.nagasaki-np.co.jp/press/htb/kousei/01.html
第1次破綻当時(2002年度)の入場者数は341万人(上記ソースでは355万人)であり、ピークが425万人(1996年/長崎オランダ村を含む)とのことなので、入場者数だけでみれば、さほど下がっては居ない。一般的な有料の観光施設の入場者数カーブと比較すれば、かなり健闘していると言っても良いだろう。また、2001年度時点で売上高320億円ということは、当時の入場者数から考えれば、9千円程度/入場者1人 であり、これも、さほど悪い数値ではない。
しかしながら、経常損益が45億円であったということなので、もともと、この程度の入場者数ではバランスがとれない収支構造であったのだろう。おそらくは、減価償却の負担も多大であったと思われる。
事実として、借入金の元金が減らせられず、当時の市場環境を考えれば、収益は悪化し、逆に、増えていくことが見込まれる状況にあるわけだから、この時点での会社更生法申請は、さほど悪い選択では無かったと感じている。
その後、野村プリンシパルに経営が移るわけだが、2006年、2007年は対前年プラスに持って行ったものの、これは、円安ウォン高を背景にした韓国人客誘致のためであり、2008年秋のリーマンショックに端を発した急激な円高によって急減。過去最低水準の187万人、売上高154億円にまで落ち込んだ。また、10年ぶりに対前年プラスとなった2006年度についても、入場者数は215万人であり、第1次破綻時の半分程度しか無い。さらに、単価の面でも、1人あたり8千円程度にまで下がってしまっている。
何が「再生」の過程で起きていたのだろうか。
ここで、入場者数の推移について、ネット上から集めてみると、以下のような感じらしい。
年度 万人 前年比  備考
1992 375      1992年3月25日開業
1993 390  104.0
1994 383  98.2
1995 408 106.5
1996 425 111.0
1997 412 96.9
1998 403 97.8
1999 390 96.7
2000 376 96.4  2000年6月興銀に200億円の債権放棄を要請。創業の神近社長辞任。
2001 367 94.5  2001年11月興銀に330億円の債権放棄要請。
2002 341 92.5  2003年2月26日経営破綻。5300万円を佐世保市が支援。
2003 215 63.0  2004年2月1日野村PF体制開始。
2004 202 94.0  
2005 195 96.5
2006 214 109.7
2007 219 102.3
2008 187 85.4  2009年2月4500万円を佐世保市が支援。
指摘できるのは、会社更生法申請した2003年度に、入場者数が急落していることだ。
この落ち方は尋常ではない。2002年度末の2003年2月の経営破綻、会社更生法申請が、集客面にも多大な影響を与えたことが伺える。
そして、2005年度には、200万人を割り込むところまで落ち込んでしまい、結局、第1次破綻時の入場者数を上回ることなく、今回の第2次破綻となっている。
こうした流れを見ていると、裏付けはないが、いくつかの「仮説」が指摘できる。
まず、「債権放棄や会社更生法」といった事項は、集客に大きな影響を与えると言うことだ。1999年度までは、オランダ村を含んだ数値であることを考えれば、2000年の債権法規申請以降の落ち込み方が、非常に顕著であることがわかる。そして、2003年(2002年度)の会社更生法申請の結果は、対前年63%という落ち込みに繋がっている。会社更生法申請はともかく、経営状況の改善を目指した債権放棄要請が、逆に集客に影を落としていたのだとすれば、皮肉である。
次に、集客のためには、再投資が不可欠だと言うことだ。2006年度、2007年度に一時的に集客が伸びているのは、韓国という新規市場をてこ入れした点もあるが、同時期に、いくつかの施設が新規オープン(愛地球博のコンテンツ設置)しており、それが、集客の呼び水ともなっている。
しかしながら、中長期的にみれば、そもそもの基礎票となるリピーターがどこまで確保できるのかにかかっている。「一度は行ってみたい施設」ではなく、リピートにつなげることが出来なければ、落ちていくしかない。例えば、2008年度は2007年度に対して85%だが、2005年度から、毎年2%で減少していた考えるとほぼ、同じ数値となる。
結局の所、2003年に、野村PF体制に切り替わったときに、すでに、ハウステンボスの開業時に想定したビジネスモデルは破綻していたのではないだろうか。V字回復と言われた2006年度当時でも、目標値には遠く及ばなかったという記事もある。それが事実だとすれば、すでに戦略レベルで破綻していたと考えるのが妥当だろう。
総じて言えば、リーマンショックなどがどうとかいう以前の話ということだ。
では、第3次ハウステンボスは、どういった形を目指すべきなのか。1つ言えるのは、いわゆるテーマパークでは、無理だと言うことだろう。もちろん、完全新規のテーマパークを作るくらいの再投資が可能なら、それもあり得るが、修繕維持費すら負担が難しいという話を考えれば、再生のための再投資は望むべくも無い。
おそらくは、テーマパークではなく、他の用途に転換するしか道は無いのではないか。HISの構想でも、アウトレットモールという話も出ているようだ。
ただ、他の施設を「観光」に用途変換することで、再生することは多く事例があるが、観光施設を他用途に転換して再生したという事例は、数少ない。さらに、用途転換するにも「資金」は必要である。
さて、どういった立ち上げができるのか。お手並み拝見。というところか。

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