以下は、私が事務局をしている「観光地マーケティング研究会」のMLに投稿したものをアレンジしています。
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昨日、以下の記事が目に入り、つい、クリックしてしまいました。
8割の男が餌食に! 下着メーカー「トリンプ」のスゲー罠!
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1003/16/news008.html
…2ページ目、下着の写真がどんと出るので、ご注意ください…
記事の書き方はともかくとして。「おねだり」をWEBのEコマースで行うというのは、「なるほど」と素直に感心しました。
そして、こういう手法は、旅行業界、観光業界でも応用できるのではないかと。
例えば、現在、ダイナミックパッケージが普及してきていますが、これには「魅力的で価値も高い旅程をくみ上げる」というパッケージング(プランニング)の部分と、それをオンラインで予約する・決済するという部分の2つがあります。
前述の記事を見て、ふと気づいたのは、この両者は、必ずしも、一人格で完結できるとは限らないということです。
例えば、家族旅行の場合、パッケージング・プランニングは、比較的時間に余裕のある母親や、場合によっては子供たちが行う方が効率的、効果的なものになる可能性があります。(WEBサイトの作り方にも寄りますが)
しかしながら、それを実際に予約する、決済するという段階になると、それは、クレジットカードを持つ父親でないと難しい場合が出てくる。
かといって、父親がプランニングから始めるのは時間的にも労力的にも大変…。
多くのWEBサイトは、クレジットカードの情報を会員情報と共に登録しておけますが、家族とはいえ、それをオープンにしてしまうのも、問題がある。
こうした事は、グループ旅行や、カップル旅行などでも起きてくる可能性があるでしょう。
さらに、以前、本MLでも流したように、旅行会社のパッケージング機能というのは、ディスティネーションによっては、観光客のCSやロイヤリティ向上に寄与します。それだけ、パッケージングというのは、重要なのですが、現在のダイナミックパッケージは、正直なところ、土地勘や旅行経験が乏しい人には、ハードルが高い存在です。
パッケージングと予約・決済を分離できると、そのディスティネーションに対して造形のある人が、その能力を活かして、パッケージングを支援することも可能になるでしょう。
私は、オーランド滞在中に、以下の投稿をしています。
オーランド183日目 ~オーダーメイドに向かう旅行商品
http://www.resort-jp.com/ppBlog17/index.php?UID=1259182295
ここで言いたかったのは、その前日の投稿(
http://www.resort-jp.com/ppBlog17/index.php?UID=1259071285
)とあわせて、旅行時の経験価値を高めるには、個々のホテルや観光施設の善し悪しだけではなく、それらの経験の総和として、どういった相乗効果、ゲシュタルト効果を引き出すのかが重要だと言うこと。ダイナミック・パッケージ志向が進む中で、そうしたパッケージング機能をどこかで担保していくことが重要ということです。
実際、現在、受託調査として実施している調査でも、ロイヤリティ(紹介意向や再来訪意向)には、個々の施設などのサービス品質や価値よりも、その旅行でどういった感想(例:わくわくした)を持ったのかといった事項の方が、1.5倍以上、「効く」ことが解ってきています。(これについては、後日、また、ご報告します)
オーランド183日目の投稿では、パッケージング機能は、旅行会社か、顧客側の2者しか担えないと思っていました。
そして、ダイナミック・パッケージ志向が進むことで、顧客側が担わざるを得ないのだろうと。
そのため、地域側での取り組みは、「顧客への情報提供」という間接的なものになろうと。
しかしながら、「おねだり」機能を応用すれば、地域側で、パッケージング機能を担えるのではないかと気がつきました。
現在でも行われているような「モデルプラン」を拡張する形で、1次交通と、宿泊先、観光施設・体験プログラム、食事などについて、地域での経験価値が高まるように地域側で初期設定を行っておく。
そして、その初期設定を、そのままダイナミック・パッケージに流し込めるような形で電子データ化しておく。
顧客は、「良さそう」と思うモデルプランを選択すると、その初期設定に基づき空席状態や料金照会が(ダイナミック・パッケージを有する旅行会社にて)実施され、プランの基本形が作られるというイメージです。ダイナミック・パッケージのシステム上で、細かい変更を行うことも可能になるでしょう。
実際には、ダイナミック・パッケージのシステムを持っている旅行会社などとの連携が必要です。特に、細かい体験プログラムまでも一体化するのであれば、それらのプログラムをシステム上に乗せてもらう必要も出てきます。
すぐに出来ると言うことではありませんが。意外に、需要拡大に貢献するかもしれませんねぇ。

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