昨日、なかなか面白い記事を見た。
「低価格化が進まない日本のPC事情」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/hot/20110524_447848.html
私が面白いと思ったのは、価格ではない。
価格については、中身との対応の点もあり、既に考察済み。
「日米比較で見る価格と機能の関係 」
http://www.resort-jp.com/ppBlog17/?UID=1262523575
私が面白いと思ったのは、6割という普及率の壁の存在だ。
米国に行った際に感じた事の一つに、PC&NETの家庭での位置づけが、日米では異なる事がある。
日本の家庭、日常生活におけるPC&NETは、なんとなく付加的なものであり、生活に溶け込んでいるという印象が薄い。
一方、米国の場合、あらゆる所で、日常生活に不可欠な存在になっている印象がある。特に、いわゆる中流層ではその印象が強い。
この差は、米国滞在中のブログでも何度か触れている。例えば、これ。
「オーランド132日目 〜いずこも同じ事」
http://www.resort-jp.com/ppBlog17/?mode=show&date=20091007
この背景には、顧客属性の考え方がある。米国の場合、顧客属性別にサービス水準が明確に別けられているからだ。
「オーランド103日目 〜日米での顧客セグメントの違い」
http://www.resort-jp.com/ppBlog17/?UID=1252331724
解りやすく言えば、事業者がマンパワーを投入し、接遇してくれるのは、特別に単価の高い顧客だけだ。
単価の低い顧客に対しては、徹底的に、「手を抜いて」対応する。その代わり「安い」。
問題は、普通の単価の人達だ。この人達へのサービス水準を高めるとコスト的に合わない、かといって、「安い」人達に合わせてしまうと、不興を買ってしまう。
そこで、ICTの投入が重要となる。
事業者側は、ICTを活用し「普通の人達」を対象としたサービスの水準を上げる。例えば、(一般の人向けの)電話窓口ではなかなか通じなくても、ネットであれば一発で繋がったり、割引を受けられたりといった具合だ。レンタカーでも、ネット予約、決済が出来る人なら、一般レーンを並ぶ必要が無い。
顧客側も、自分の支出を抑えつつ、「安い」人達の上を行くサービスを享受するために、PC&NETを活用しようとするインセンティブが強力に効くことになる。
つまり、家庭でPC&NETを使いこなすことは、賢い選択であり、自身のためであるわけだ。
が、日本の場合、そうした差別化はしない。例えば、航空会社などは、どんなにネット予約が普及しても、有人窓口が混むような状態にはしない。そのため、年に一度、または、数年に一度しか飛行機を使わない人は、「苦労してネット予約の仕方を覚える」必要を感じない。
6割の壁。というのは、こうした部分が背景にあるように思う。

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