今週の月曜日の夜に成田を出発し、火曜日からケアンズに来ています。
といっても、あと数時間で、帰国ですが。
いつも、出来るだけ、海外出張時は、本ブログを再開していますが、今回は、連日、かなりタイトな日程で、まとめる時間がありませんでした。
ケアンズは、初めての来訪ですが、事前の整理にて、観光地マーケティング、マネジメントの取組について幅広く実施されて居ることが解っており、その辺の実践の場を見ることを楽しみにしていました。
とはいえ、出張業務の主体は、ダイビングの活性化であることから、ディスティネーションレベルの話を聞く機会は限定されていたのが、残念ではありました。
まぁ、この辺の話題は、機会があれば、別途整理したいと思っています。
さて、ケアンズは、いわゆるマスターディベロッピング方式で、計画的に開発されたリゾートの一つです。
人口は1.5万人。経済の半分は観光消費によって生み出されているという、リゾートタウンです。
ただ、街中は、最大でも中層レベル(10数階)までの建物であり、ワイキキなどのように「都市」というほどの密度感はありません。
一方で、空港、鉄道、そして、グレートバリアリーフ(GBR)への船舶が停泊するマリーナの3つが集積しており、交通機関との関係は密接。
さらに、街中自体は「歩く」事が配慮された造りになっており、歩道や広場が整備されているだけでなく、徒歩圏内に宿泊、飲食物販施設が集積。
昼間は暑いので、歩くのはきついですが、夕食の前後などにそぞろ歩きするには、好適な環境、空間となっています。
という「教科書どおり」にリゾート開発されたエリアとなっています。
これが、人口1.5万人程度の地域が、国内はもとより、世界からのディスティネーションになっている事の背景にあると考えて良いでしょう。
ただ、集客数という点では、近年は弱含み。もともと、日本市場への依存度の高い地域でしたが、観光需要がほとんどであるため、カンタスやJALといったレガシーキャリアが撤退。現在では実質的にJetStarの一択。観光リゾート地なのでLCCでも良いじゃないかという話もありますが、LCCになると、インセンティブ需要は厳しくなりますし、旅行エージェントとの関係も厳しくなります。端的に言えば、FITしか市場が無くなってしまった。FITへの対応は、ディスティネーションにとって、マストな取組ですが、FITしか狙えないという事とは意味が違います。
さらに、リーマンショック後のAUSドル高にて価格競争力が低下している中で、メイン市場である日本市場は、昨年度の震災によって、さらに大きくガクンと落ち込んでしまった。という状況です。
こうなってしまうと、新たな投資が入りにくくなり、街中の飲食物販施設の活力が落ち、賑わいが消えていく。これが、更なる失速を呼んでいくという悪循環に入って行くことになります。現在のケアンズは、まさしく、そんな状況にあります。
ただ、日本人客も昨年度を底にして、LCCを主体とした新たな枠組みにて再浮上しつつあり、また、中国市場の取り込みも進んできています。
前述したように、もともとかなりロジカルな取組が進んでいる地域ですので、そうしたやり方によって、うまく再生軌道に乗せていけるのかどうか、興味があります。
観光客という視点でみると、かなり減少したとは言え、日本語対応のスタッフ(多くはワーホリを含めた日本人)が各施設に居り、かつ、治安も高いので、ファミリーディスティネーションとしては好適。GBRのダイビングなどのスポーツ系のアクティビティは多いので、若い世代の友人旅行にも好適。GBRの体験は、ハネムーナーにも評価される水準だと思いますがJetStarをどう考えるか。また、買い物の魅力がさほど高くないので、マリンレジャー好きに限定されるでしょうね。同じ流れで中高年層は厳しいですね。
ただ、高級ではないが、高質ではあります。アジア圏のようないいかげんさ(おおらかさでもありますが)は無く、かといって欧米のようなドライ感、ギスギス感も無い。
この辺は、日本人のディスティネーションであったという事が効いているのかもしれません。
例えば、ダイビングサービスの対応は、国内のサービスでも滅多に見られないほど丁寧で、安全管理や環境保全に対する意識も高い。
各施設内も豪華、最新でなくても、掃除が行き届き、老朽物のメンテナンスもちゃんとしている。前述のように、弱含んできたディスティネーションであることを考えると、立派だなぁと素直に思う。
もしかすると、日本の良さと、欧米の良さがうまく融合し、特異なポジションとなっているかもしれませんねぇ。
この辺は、研究者としては、もう少し「掘って」みたいところ。
また、GBRのポンツーンは、とっても楽しい空間でした。
海に入らない人でも、家族や友人と一緒に、海に出られるというこの施設は、もっと、全面に出てきても良いのでは無いかと。
言い方を変えれば、同行者の事を考えた「経験」を考える事の重要性も感じました。
まぁ、いろいろ、つらつらと考える事の出来た出張でした。

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