ホテルを出てTATのビルまでバスで移動した。
昨日と異なり、町には多くの人と車が行き交い、ここがタイの首都、バンコクであることを主張している。
バンコクの景観は、非常にマレーシアのそれに似ていると感じた。日本及びマレーシアと同じ左側通行であるし、植栽、色彩、車道処理、歩道、建物形状などが似ているからであろう。但し、マレーシアはより緑が濃いため、よりうっそうとした印象がつよくなる。特に首都クアラルンプールと比較すると樹々の緑の量と大きさが段違いに少ない。また、マレーシアは多民族国家であり、町中を歩いている人の格好も様々であるが、タイにはそうしたバラエティさが無い。
そうした違いはあるものの、もともとの都市基盤づくりは、どちらもイギリスの影響が感じられる町並みである。
バンコクの町中でも高い建物は多い。地震が無い土地柄、日本に比べれば容易に高層建築が実現できる事が大きな要因であろう。但し、経済不況で建設が止まってしまった物も数多く見られる。
バンコクの町は、西側のチャオプタラ川を端にして、典型的なスプロールを起こしているように感じた。高速ビルはあちこちに無秩序に建っており、ビルから町を眺めると延々と市街地が続いている。いわゆるマンションはあっても低層で、例えば、シンガポールに見られるような中高層マンション団地などは見られなかった。地図を見ても、市街地は東側へと展開していることが読みとることが出来、TATの新オフィスビルも中心部から東方方向に移動している。こうしたスプロール化の中、市街地内にはいわゆるスラム地区も現存している。緑の中に埋もれていたり、橋脚の下であったりするので、そう目だつ物ではなかったが、裏通りにはいっていけば相当量のスラム地区が現存している物と思われる。日本におけるバブル期の地上げのように、好況の時にはこうした地区は再開発に格好の地区として開発されるのであろうが、経済が失速している現在、そうした望みは薄い。
スプロール化は都市の様々なインフラに多大な負担をかける。特に交通インフラへの負担は過大なものとなりやすい。モータリゼーションの発達は、スプロール化に拍車をかけるが、悪名高いバンコクの渋滞を抜本的に解決するには、スプロールの抑制こそが重要なのではと感じた。
市民は、車やバイクも利用しているが、多くの市民の足としてバスが活用されている。
今回の研修の公式行事として、タイの政府観光局Tourism Authority of Thailand 略称 TATを訪問した。
対応いただいたのは、投資管理部門のディレクターSethapon Chindanonさんである。
タイの観光政策でまず驚いたのは、統計数値がきっちりと調べられ、かつ、冊子にまとめられている事である。それもタイ語ではなく英語で記述されていた。日本の、統一的な観光統計資料すらない現状とは、雲泥の差である。正確な判断には正確な情報が欠かせない。地道なことではあるが、こうした基本的なことをきっちりとやっている所は強い。
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