このところ「なるほどな」と思うようになってきたのは、管理と経営とは違うのだなということである。どちらも英語にするとマネジメントになるのが厄介だが、両者の違いは、Do things right(ことを正しく行う)とDo right things(正しいことを行う)の違いと表現できる。
ドラッカーも「マネジメントは物事を正しく行うことであり,リーダーシップは正しいことを することである」という形で指摘をしている。
この手のことは、日経BPのコラムなどでも取り上げられている。ただし、ここでは、「マネジメント」がドラッカーの「リーダーシップ」を指し、ドラッカーの「マネジメント」は「コントロール」という表現になっている。
このように、言葉の使い方の混乱はあるものの、ドラッカーの言い回しを基本とすれば、マネジメントを「管理」、リーダーシップを意志決定&遂行力として「経営」と考えて良いだろう。
いずれにせよ、管理と経営。は、質的に異なる。ということだ。
これはすなわち、管理職と経営者では求められる能力は異なるということでもある。
優秀な管理職が、優秀な経営者であるとは限らないし、その逆も真である。
コンサルタントのネタは、管理にも経営にも存在する。
経営レベルでは、外的・内的環境を整理分析し方向性を意志決定させる。すなわち戦略策定などが対応する。
そして、管理レベルでは、まずは、その戦略をもとに実際の実施手法やルールを規定する具体的な計画(戦術)策定がある。
さらに、その計画に基づいて、ちゃんと実施されているかどうかを検証し、適宜、修正を図っていく計画監理がある。
ただ、やはり、ちゃんとした「戦略」をどう作れるのか。が大きな部分であろう。
戦略、すなわち「経営」のレベルがしっかりとならなければ、計画以下がいかに「正しく実施した」としても無意味な事になってしまうからだ。
スティーブン・R・コヴィーの「七つの習慣」ではこういうくだりがある。
ジャングルの中で斧を持って道を切り開いている作業チームがいる。
マネージャーはその後方に立ち、斧を研いだり、方針や手順のマニュアルを作り、
スケジュールを組んで、作業がうまく行くように管理している。
一方、リーダーは、ジャングルの中で一番高い木に登り、全体を見渡し、
「このジャングルは違うぞ」
そう叫ぶ人である。
つまり、切り開き作業自体はうまくいっていること(すなわち、正しく実施されているか否か)と、それが意味のあること(すなわち、正しいことか否か)とは別の問題であるということだからだ。