バブル期に全国を席巻したリゾートブームへのアンチテーゼのように、あるツーリズムが提唱された。それは、森林や農村を開発するのではなく、そのものを楽しむ「グリーンツーリズム」という考え方である。その後、自然環境をそのまま楽しみ地域の保全にもつなげていく「エコツーリズム」、産業施設や(役割を終えた)産業遺産を楽しもうという「産業観光」など、様々なツーリズム、観光が提唱されてきた。
これらのツーリズム、観光は、それまでの「マス」を対象としているツーリズムではなく、ある特定の嗜好をもった人々を対象としているということで「オルタナティブツーリズム」と呼ばれる。
そして、この「オルタナティブツーリズム」が、近年、ニューツーリズムと呼ばれるようになった。

このニューツーリズム。現在、各地で熱い注目を集め、取り組まれるようになっているが、そこまで、注目されるべきものなのか?と思っている。

前述したように、本来、ニューツーリズムは、多様化が進む中でのオルタナティブ、すなわち、ニッチ市場であって、皆が狙うような市場ではないハズである。この辺は、各種のマーケット調査でも、その参加率などが実証しているところである。

さらに、この手のツーリズムは、いわゆる玄人好みである点にも留意が必要であろう。
現在、我が国の旅行市場は、旅行する人としない人に大きく区分されるようになってきている。そして、後者の人たちは、絶対的な時間や資金が無いと言うよりは、旅行よりもプライオリティの高い活動があるために旅行をしない。という状況にあると私は考えている。こうした人々が、ニューツーリズムという活動に興味を示すかというと難しいと思うのだ。
一方で、既存、つまりは自らの顧客を有している観光地、リゾート地が、その顧客をつなぎ止めるために、ニューツーリズムを魅力バリエーションに加えていくことは、とても有効だと思う。

旅行需要の拡大のためには、もっと、違うこと。違う取り組みが必要なのではないだろうか….

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