今日で、30日目。一ヶ月が終了です。
また、EDIT時のハワイが、28日滞在でしたから、海外滞在記録を更新中となります。
ハワイの場合は、ホテル住まいでしたし、観光客的な立場ですが、今回は住民としての立場なので、結構、感じが違います。一番、大きいのは、あまり気負っていないというあたりでしょうか。尖ったことをするというよりは、ごくごく普通に、自然な生活という感じです。それだけ、事務手続きなどに追われてきた一ヶ月であるとも言えますが。
さて、今日、3冊目をはれて読了しました。前2冊に比して、この本は、論文的なかきっぷりだったので、とても読みにくかったというのが印象です。論文はせいぜい、4ページくらいですからね。1ページあたりの文字数は違いますが、論文っぽい文章を400ページ以上(斜め読みとはいえ)読むのはしんどかったです。(すぐ、眠くなる)
以下、読んだ感想を。
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Chapter9:Monitoring Changes in Performance

満足度の構造は、いろいろなことで時間とともに、変化していく。ここでは、そうした変化にどのように対応していくのかについて整理している。
まず、顧客の要求が変化していく要因として、以下の4つをあげている。

  1. 産業の変化
  2. 競合の変化
  3. 顧客自身の変化
  4. 顧客間の文化や国際的な違い

その上で、企業の対応で生じるもの、(企業の対応に関係するが)企業の対応を超えて生じるもの、(完全に企業外にて)突然変化が起こるもの3つに分けて整理している。(この辺、いまいち、ミッシーな感じがしないが、語学力のせいかもしれない)
企業の対応で生じるものとしては、「経験の質(例:一度、航空座席をアップグレードしてくれたら、その後もしてくれるものと考える)」「マーケティングメッセージ(例:最低価格保証のようなギャランティ)」「価格に対する価値意識の向上」「サービスを受ける場所の環境(例:待合室の装飾や音楽)」「製品・サービスの情報(例:その製品サービスに詳しくなる)」「個々人と企業との接触の状態(例:当初の関わり方が弱い顧客は、どのようなものを要望しているかわかりにくい)」そして「ブランド」の7つをあげている。
(企業の対応に関係するが)企業の対応を超えて生じるものとしては、「購入に対する意識レベル(例:慎重に検討して購入するようになると、より様々な情報を検討するようになる)」「(企業の対応外の)サービスを受ける場所の環境(例:サンドイッチを朝食として通勤中に食べるか、オフィスについてから食べるかによって、要求内容が異なる)」「情報に対する顧客の解釈(例:便利な時間にやっています。というメッセージを出した時、朝方の人は早朝営業を期待するし、夜型の人は夜間営業を期待する)」
3点目、その他、(完全に企業外にて)突然変化するもの(Events Precipitating Change)では、「経験した満足や不満足(例:大事な旅行中に飛行機がキャンセルされた人は、その後、定時運行するかどうかに注目するだろうが、そうした経験がない人は、従来と同内容かそれ以上の要望のままとなる)」「経済環境(例:便利さよりも安さが高いプライオリティとなる)」「競合(例:他社が新しいことをやればそれが基準となる。同業に限らず、他業種での取り組みが標準となる場合もある)」「顧客の環境やライフスタイルの変化」
こうした各種の変化によって、個別の顧客や市場全体の要求水準が変わっていくことが想定されることに対応できる仕組みを作らなければならない。
つまり、一度、つくった調査票がずれていないか、ちゃんとみていけということですね。
このあと、CIなどモニタリングの指標、考え方が記されています。
前二作でも触れられている部分も多いのですが、興味を惹かれたものを。

Kano’s Three Definitions of Quality

狩野紀昭教授(東京大学、1996)が提唱した、各要素の状態と総合満足度との関係を3つに整理したモデル。一つは、両者に直線的な関係があるという通常のもの(One-dimensional attributes)、もう一つは、不満足の場合、とても減少するが満足でもさほど上昇しないもの(Expected attributes)、そして、不満足でもさほど減少しないが、満足の場合、とても上昇するもの(Attractor attibutes)。
我々のいうところの、通常要素、減点要素、加点要素であるわけですが、やはり、整理されていたのですね。減点要素を、当たり前すぎて要望事項としては出てこないが、それだけに達成されていないと満足度が大きく下がるという意味で、Expected attributesと呼び、加点要素を、あまり高い期待はそもそもされていないが、それを上まわることで、大きな満足が生じるという意味で、 Attractor attibutes と命名しているところがおもしろい。
これについては、 http://en.wikipedia.org/wiki/Kano_model を参照。

Chapter10:How to Achieve “Buy-In” of CSM Results

最終章となる本章では、CSMの結果を、どのように収益と関連づけていくのか。ということ。
これについても既出ですので、ここでは再掲しません。いずれにしても、観光地CSの場合には、収益と直接的な関係が見いだしにくいので、この関係の部分は、なにかしらの対応を考えないとならないと感じています。
また、実際のアクションに落としていく方法(検討方法)についても触れられています。これは、いわゆる「影響度」や「現状の水準」、「ギャップ」から施策を抽出していくというものですが、そのフレームワークの1つとして、House of Quality が紹介されています。
これは、複雑なフレームなので、言葉での紹介は難しいですが、顧客の要望と、企業側の対応とを、そのコストや、要望間の関係、対応間の関係などをひっくるめて一つの図に載せてしまうもの。
http://en.wikipedia.org/wiki/House_of_Quality
の事例を参照すると、何となく、わかると思います。
これだけ複雑な図になると、見方を説明するだけで一苦労ですが、わかってしまえば、なるほどね。という感じではあります。
本書には、この前段としてより簡易なフレームも載っているのですが、それはWEBでは見つけられませんでした。
これは、House of Qualityの中央部分だけを抜き出したようなもので、縦軸に、個別項目をレコードとして並べ、横軸に、それぞれの項目の顧客からみた重要度、担当(Responsibility)、自社と競合の状況状態(Customer’s Perceptions)とギャップ(引き算)、そして、重要度とギャップをかけ算して、大きなものからプライオリティをつけていくというもの。
これくらいなら、使い勝手も良さそう。
個人的には、ここであがっている事例がスキー場を対象としたものであったので、その点でも興味をひかれました。
いずれにしても、この辺のフレームワークは、満足度以前の「品質管理」のところに、かなり立脚していることを感じました。品質管理は、(誤解かもしれませんが)製造業に立脚している部分が多いので、私としては、いきなり満足度から入っているわけですが、知識が積み上げられていることを考えると、その辺も一通りはみておかないとだめかもしれませんねぇ。

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