とうとう、50日目となりました。
大学に8時半から9時頃に行き、メルチェなどをしながら論文の読み込み。ランチを挟み、午後はリーダーシップの授業に出て、その後、6時とか7時頃までまた論文の読み込みというのが、このところの基本パターンです。
CSについては、90年代の後半から、急激に研究論文が増大し、それによって様々な考察がなされて来ている事が見えてきました。ただ、あまりに多様なので、これを把握するのは、容易でなさそう。という気もしています。
また、平行して、例えば、「景観」の観光に与える影響なんていう論文も、原さんに紹介してもらって読んだりしています。
いやまぁ、百科事典のように、ググればなんでも出てくる。そんな感じがしています。
さて、今日は、アメリカのプロフェッサー、つまり、教授の階層についてまとめておきましょう。
日本は教授と言えば、准教授と教授の2つしかありませんが、こちらでは、アシスタントプロフェッサー、アソシエイトプロフェッサー、そして、フルプロフェッサーの3階層が存在します。
ます、PhD、博士号を取得したうえで、職を得ると、アシスタントプロフェッサーとなります。ただ、このアシスタントプロフェッサーには2種類あって、その後、アソシエイト、フルとあがっていく候補生としてのアシスタントプロフェッサーと、候補生ではないただのアシスタントプロフェッサーに別れます。前者は、テニュアトラックに属している人という表現をします。テニュアとは、終身教授職であり、これを取得する事で、やっとプロのプロフェッサーとなるわけです。
このテニュアを取得するためのテニュアトラックは、6年間のコースで、1年に2本以上の審査付き論文(つまり、最低、12本)発表することが求められます。論文数がそこまでいかなかったり、数はあっても内容がひどければ、テニュア取得にはつながりません。
このテニュアトラックに居るアシスタントプロフェッサーは、他のプロフェッサーと同様に、大学に雇用され、講義を担当し、大学が提供するサービスにも対応する事が求められます。その上で、論文を2本以上だすわけですから、かなりの集中力、自己管理能力、そして、研究能力が求められます。
アメリカの大学は、論文の発表数が、大学としてのランクを決める部分があるため、実は、良質な論文を数多く発表する可能性の高いテニュアトラックのファカルティは、重要なリソースです。ではありますが、有給ですし、かつ、その時点では実績の無い人を雇う訳ですから一方で、高いリスクも抱える事になります。
ファカルティの側からすれば、出来るだけ自分の論文作成に時間を割くことができるような大学が望ましい。ということにもなりますが、求人数自体はさほど多くありませんし、かつ、アメリカは全てが交渉できまっていく世界のため、テニュアトラックとして雇ってくれる大学を見つけるのは、簡単ではありません。
つまり、テニュアトラックに入るだけでも、高いハードルがあるわけです。
それをクリアし、かつ、6年間、実績をあげることが出来れば、晴れて「テニュア」を取得できます。
これで、アソシエイトプロフェッサーとなります。
じゃぁ、そのまま、フルプロフェッサーになれるか?というと、それは、それでまた、高いハードルがあります。
というのは、フルプロフェッサーと、アソシエイトまでとは評価の基準が変わってくるのです。
アソシエイトまでは、論文数が評価基準となりますが、フルにあがるためには、「その分野において第一人者である」という評価を得なければならないのです。歴史がながかったり、一般的な分野は、研究者は多数存在しますから、「一人者」と認められるのは、とても困難であることは解るでしょう。じゃぁニッチな分野なら良いのかといえば、その分野が他者から認められなければ意味は無いですから、同様の困難さがあります。
このように、「フルプロフェッサー」になるということは、こちらの国は、半端無く大変なことである訳です。
それだけに、社会的な地位や、尊敬度合いというのも大きく違います。
日本では、助教授を准教授と呼びかえましたが、これは、日本では、アシスタントが助手、アソシエイトが准教授という議論の結果です。
ただ、もともと、テニュアという概念をもたず、かつ、フルプロフェッサー、教授への登用基準も異なる状態で、呼称だけを欧米のものにそろえるというのは、少々、違和感を感じます。
似て非なるもの。そういうことが、いろいろあります。そんなことを知るのも、今回の研修の成果の一つなのかもしれません。

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