今日から、本格的に先週出された新しい宿題(論文リストの読み込み)に入った。
論文数だけで40を超えているので、かなりのハイペースで行かないとならないのだが、今日は、1本しか読み込めなかった。
新しい年代の論文ほど、過去の蓄積の上に立っているのでちゃんと理解するのに広範な知見が必要となることもあるが、90年代の後半から、統計分析に「共分散構造分析(covariance structure analysis)」が利用されてきている事が、読み込み速度を落とす原因となっている。
このことは、先週まで行っていた、90年代の論文(今回の宿題は主に2000年代)を読んでいる時も感じていたのだが、私が利用しているSPSS単体では、この分析に対応することが難しく、AMOSと呼ばれる別パッケージが必要となるため、私自身はこの統計手法を実践できていない。
この共分散構造分析を利用した論文にぶち当たり始めた7月中旬頃より、論文読み込みと平行して、共分散構造分析に関する資料もあつめてきているが、実際に動かしてみないことには実感がわかない。AMOSはかなりの金額がするので、さて、どうしたものかと思案中。 が、実際に分析する能力を持つためには、どこかで同分析手法を習得しないとならないだろう。うーTODOが増える。
まずは、論文を読み込みつつ、理解の進展上、どうしようもなくなったら、AMOSに手を出すということで進めてみたい。
さて、今日、読んだ論文は、以下のもの。
A Mediation Model of Tourist’s Repurchase Intentions for Packaged Tour Services / Yanqun He and Haiyan Song / Journal of Travel Research 2009; 47; 317
内容は、香港のアウトバウンドの旅行者に対する過去9年間のCS調査結果をもとに、ツアー商品の再購入を、満足度、商品サービスの品質、そして、商品サービスの価値(価格に対する評価)の3つの視点から分析を行い、その関係性を明らかにするというもの。満足度とサービスの品質、価値の3者は、それぞれ異なる概念でありながら、明確な区分が出来ず、また、顧客維持やロイヤリティ(ここでは再購入)との関係についても、学説上もその定義がいろいろ出されている部分である。この調査は、そうした「いろいろ出されている」部分について、経年的な蓄積データをもとに、統計的に整理をしてみて、一定の答えを出そうという趣旨の分析。
結果から言えば、満足度は、商品サービスの質や価値を代弁する効果がある。商品サービスの質や価値と再購入との間に直接的な関係は希薄である。満足度と再購入との間の関係は統計的に認められる。というもの。過去9年間と言っても、1年のサンプル数は、200前後に過ぎないため、いろいろとエクスキューズ付きの結果ではあるが、やはり、個々の事象ではなく、全体としてどう感じたのかという総合的な経験がロイヤリティに繋がっているということを示す結果となった。
では、また。