Discussion of Destination Branding.

オーランド176日目 〜相互比較できる指標を持つ事の必要性

ネットニュースに寄れば、現在、日本では、仕分け人による「事業の仕分け」がなされているようです。
これについては、いろいろと賛否両論あるようですが。結局の所、価値基準の違うままで、議論しても、平行線というか、議論がかみ合わない事になるだけではないでしょうか。
例えば、スーパーコンピューター開発の是非について、もめているようですが、これ、単体で考えれば重要な取り組みでしょうし、「科学技術立国日本」を作っていく上でも重要な事でしょう。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0911/15/news002.html
ただ、そこに「資金」を投入すること。そして、その資金が「有限」であり、取り合いになっている事。を考えれば、まずは、「科学技術立国日本」が、国全体の施策の中で、どれだけの重要度があるのかということが、明らかになっていなければ、本来は議論の土台が作れません。
例えば、「科学技術立国」と「観光立国」では、どちらが、どれだけ重要なのでしょう。さらに言えば、福祉と比べたらどうなのでしょう。
国が行う事業として、どれが、どの程度、重要なのか。ということについて、1つの基準で議論できるようになって、はじめて、リソース(この場合は税金)を、どこに傾斜配分するのかが議論できるようになるはずです。
そうした基準が無いところで、議論をするので、かみ合わなくなります。それは、それぞれの立ち位置、価値基準が異なるのですから当たり前の事です。
問題を複雑にするのは、成果をあげるのに、閾値が存在するものとしないものがあると言うことでしょう。例えば、スーパーコンピューターの例を取れば、予算、半額を投入すれば、半分の性能のものが作れるかと言えばそんなことは無いでしょう。一方で、道路建設予算などは、全体としてみれば、当初予算の半額となっても、半分の道路は造ることが出来て共用出来る事になるでしょう。つまり、削減(や増額)が、直線的にアウトカムに繋がるものと、投入されるかされないかという二者択一になるものもあるということです。
また、これに関連して言えば、「絶対にクリアしなければならないもの(MUST BE)」と「余裕があれば行うべきもの(ADDITIONAL)」という違いもでてきます。治安とか、一定水準以上の医療、福祉などは前者と考えることが出来ますし、文化振興や一定水準以上のインフラ整備などは後者と考えることが出来るでしょう。(一定水準。をどのように考えるのかという議論も当然あります)
さらに、「時間軸」の問題もあります。例えば、治安対策は、もしかしたら、1年や2年は手を抜いても、すぐに治安悪化に繋がらないかもしれません。でも、治安が悪化し始めてから改善しようとすると、おそらく、膨大な費用が必要となるでしょう。道路の補修費、人材育成、技術振興なども同様の特性を持っていると考えられます。
もっと言えば、経済格差を放置すると、モラルが低下し、それが治安の悪化に繋がるかもしれません。技術振興が遅れれば、各種産業の技術革新が低迷し、生産性の低下につながり税収低下となるかもしれません。環境対策を怠れば、健康被害が増大し医療費が増大したり、気候変動によって治水や治山などのために膨大な公共工事が必要になるかもしれません。
とまぁ、考えて行くと、あまりに変数が多すぎて、とても、1つのマップに落とすことなど出来そうにありません。
こうした時。何かしらの突破口が必要です。それは、どの分野であっても、相互比較できる指標を持つ事ではないでしょうか。
つまり、Aの事業で得られる効果と、Bの事業で得られる効果とを相互に同じ評価軸で比較できるようにするということです。
そして、その指標は、おそらく「経済価値」すなわち「金額換算」しかないでしょう。
例えば、スーパーコンピューターの例で言えば、このスーパーコンピューターを開発することで、波及効果を含めて、○○だけの経済価値を創造する。逆に、開発をしなければ、技術革新の低迷や、海外へのパテント料の支払いなどによって△△の経済価値が損失する。こうした事を、示すことができれば、例えば、観光立国とどちらが重要なのかということの議論が出来るでしょう。
では、「福祉」と比べる場合は、どうなのでしょう。福祉も経済価値にするのでしょうか?
おそらく、経済価値にすることも出来るでしょう。福祉が破綻すれば、例えば、家族や地域コミュニティでの介護の負担が増大します。そうした負担の増大は、本来なら発生するはずの労働力や、余暇消費を阻害するなどといったロジックは作れそうです。精神的な豊かさなども、裁判において慰謝料という概念があるように、経済価値に転換することが可能です。
ただ、こうした分野は、経済価値だけで置き換えるのは、心理的な抵抗感が強いでしょう。そもそも、こうした分野は、「一定水準を絶対にクリアしなければならないもの(MUST BE)」と考えることが出来ますから、別の議論としても良いと思います。おそらく、こうした分野の問題は「一定水準」の設定の仕方でしょう。
環境問題はどうでしょう。環境問題も経済価値に転換することは可能でしょう。ただ、これは、日本、一国の問題ではなく、全世界的なもんだいとなっています。よって、日本国内での経済原理だけを考えても限界が出てきます。つまり、これも、「MUST BE」となるのではないでしょうか。
治安や文化なども同様でしょう。
何を「MUST BE」要素とするのか。そして、そこに設定する「一定水準」をどこに置くのかについては、幅広い議論と意識共有が必要でしょう。
同要素における「経済価値」は、おそらく、一定基準をどこに置くのかという議論において参考資料になるものと思われます。さらに、MUST BE要素を維持するのにかかるコストが明確にしておくことは、後述する「余裕があれば行うべきもの(ADDITIONAL)」のルール作りにも役立ちます。
このように考えて行くと、「MUST BE」要素というのは、「余裕があれば行うべきもの(ADDITIONAL)」の実施に当たってのルールとすることも出来るのではないでしょうか。なぜなら、ADDITIONAL要素の取り組みによって、仮にMUST BE要素にマイナスの影響を与える場合、そのマイナス分を補填するためのコストが別途かかるからです。
例えば、道路は産業振興に役立ちますが、一方で、環境に負荷もかけます。そうなると、産業振興でもたらされる経済価値から、環境を是正するコストを差し引いたものが、実質の創造価値というように考えられるのでは無いでしょうか。(MUST BE要素でも、経済価値を算出しておく必要性はこのためです) 逆に、道路網が整備されることで、救命率が上昇したり、旅行によるリフレッシュ効果で健康増進がなされるのであれば、そうした効果を経済価値に換算して、上乗せすることも出来るでしょう。
つまり、MUST BEとADDITONALに区分した上で、ADDITIONALの部分は、経済価値にて判断するようにしていけば、すっきりするのではないでしょうか?
では、ADDITIONAL分野間のウェイトはどうするのでしょう。これは、ここまで整理されてしまえば、簡単です。現状と将来を見越して、どの分野が費用対効果に優れているのかということを考えて行けば良いのです。
実は、こういう考え方は、観光振興計画でも適用可能です。観光客のCSなり、ロイヤリティを高める要素は多岐に渡りますが。何に注力するのかということは、実のところ、テクニカルに落とし込んでいくことが出来るからです。
こうした形に、観光の世界も変えていく必要があるのではないでしょうか。

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