今日は、一日、ぼけっと過ごすつもりだったですが、当初想定されていたような天気の崩れも無いようだったので、急遽、タンパの水族館に行くことにしました。
11時頃に、宿舎を出て、タンパまでは約100km、1時間の道のり。ほとんどが高速道路。
日本では、今、高速道路の無料化が検討されていますが、やはり、無料で利用できる高速道路というのは重宝。
100km離れたところにも、気軽にふらっといけるのは、やはり、無料というのは大きいですからね。
フロリダは、有料の高速道路もありますが、それとて、1ドルとか2ドルといった単位。1,000円もかかりません。
実は、私。水族館マーケティングは、かなりやりこんでまして。その関係で、日本の主要な水族館はほぼ制覇しています。
にも関わらず、今回、フロリダ最大級であるフロリダ水族館にくるのに6ヶ月も要したのは、実のところ、米国の水族館にさほど期待していないということがあります。
テーマパークは、米国と日本では、間違いなく米国が上ですが、水族館に限定すれば、日本は、米国はおろか世界でトップクラスの品質にあると思っています。それは、水の浄化システム、アクリルガラスなどの技術が段違いだからです。端的に言えば、水族館の顔となる大水槽の規模、大きさにおいて、日本の水族館はダントツです。
さらに、日本の水族館の多くは、それこそ、世界中の魚類を取り扱っています。東北の水族館でも熱帯魚コーナーは必ずありますし、ペンギンがいるのも「当たり前」です。これに対し、海外の水族館は、基本的に、その水族館が立地する自然を対象としており、「世界中の魚が集結」などということはありません。
その分、地域密着度、地域の自然学習という点では、海外の水族館の方が有利であるとは言えるでしょう。水族館が、一種の自然公園のような位置づけだと思えばよいかと。
さて、フロリダ水族館ですが。設備面では、やはり、日本の水族館には全くかないません。しかしながら、一方で、地域の水族や関連する動植物の生態を知らしめるという点においては、かなり頑張っている印象を受けました。
外部の自然光を取り入れるように設計された空間では、鳥や植物などをふくめて、マングローブの自然形態が再現され、シーカヤックなどでマングローブ林に迷い込んだかのような印象を受けます。日本でも同様の展示方法は多く見られますが、ここは、水深が浅く、かつ、水槽の縁が低い。「Don’t Touch」の警告文はありますが、その気になれば、魚を手づかみできそうなくらいの近さがあります。
また、面白いなと感じたのは、各所にロッキングチェアが用意されていて、水槽を額縁のようにきりとって、眺めながらくつろげるように配慮していること。
実は、以前、ある水族館で同様の提案をしたことがあるのですが、遭えなく却下された経験がある私としては、「やっぱりいいなぁ」と。
その他、大水槽のようにダイナミックに見せるのではなく、隙間を見せるというやり方も感心しました。日本の水族館は、なまじ、大水槽を作れてしまうので、ドーンとでかい水槽をなんの工夫も無く見せるのが主流ですが、ここでは、人口の岩石を入り組ませて、トンネルや谷間をつくり、それを、各所に用意された小窓からのぞき込むことができるようになっています。日本でも、同様の取り組みにチャレンジしているところはありますが、それよりも、とても、好印象。窓は小さいし、魚もそんなに居る訳じゃないのに、なぜだろうと考えれたら、スキューバダイビングで、洞窟などにいるときと同じような見え方なのです。つまり、とても自然。
日本の水族館で辟易するのは、「自然の海には、こんなに、ぐばっと魚は居ないなぁ」ということ。ここでも、自然の海に比べれば、魚は多いのですが、あまり違和感を感じない。多分、海に潜り込んでいる人たちがデザインしたのだろうなぁと。
などと思いながら、移動していたら、なんと、「NAUI」のロゴが。そういえばWEBページにも協賛者としてNAUIの名前が挙がっていました。
そう。この他、NAUIプレゼンツという形で、タツノオトシゴなどの「ドラゴン系」の特別展示などもありました。
考えて見たら、魚の世界に興味を持ったら、海に潜るのが一番なのです。でも、日本では、スキューバダイビング団体と水族館は、全く関係していませんねぇ。
また、私は参加していませんが、この水族館は、別途、エコツアープログラムも持っていて、水族館の正面から、船に乗って、実際の海で自然観察などをすることが出来るようにもなっています。こうした立体的な作り方、ネットワークの作り方については参考になりますね。
入場料は大人税込み$20。日本の公営系の水族館に比べると高い。けど、民間の水族館よりは安い。
でも、民間の水族館には、ほぼ確実にあるショーが無い事を考えれば、高い。でしょうね。美ら海でも1800円ですから。
私個人としては、いろいろと参考になる部分はありましたが、オーランドに来た日本人観光客が来るだけの価値があるかといえば「ありません」。日本の水族館で何の問題もありませんから。
フロリダ水族館がある臨海部は、クルーズシップの接岸場所にもなっています。ちょうど、CARNIVAL LEGENDが接岸し、お客さんの受け入れを開始していました。この船、8.8万トンと、私がキーウェストで目撃したディズニークルーズの現役船(ディズニーも12万トン級の新造船を建造中)とほぼ同じ。パナマ運河をぎりぎり通れるサイズ。
http://www.carnival.com/cms/fun/ships/carnival_legend/default.aspx?shipCode=LE
建物と比較すればわかるように、馬鹿でかいビル(しかも横長)くらいの圧迫感がありますが、この秋には、ロイヤル・カリビアン・インターナショナルが、22.5万トンという、途方もない大きさのクルーズシップ「オアシス・オブ・ザ・シー」を就航させたばかりであり、じつは、この大きさは、「オアシス・オブ・ザ・シー」は、エンパイヤ-ステートビルの高さと同じ全長を持つ。それに比べれば、このLEGENDOは、すでに小型の部類。恐ろしい。
でも、臨海部に、クルーズシップが接岸するだけで、華がでますし、人の動きもでますので、やはり、インパクトは大きいですね。
この「人が居る」というのは、実は、とても重要な事です。ということを、この後、実感しました。
その後、ダウンタウンの再開発系、歴史エリアにも行ってみたのです。が。かなり面的に整備されているものの、人がいるのは、ごく一部のみ。ちょっと外れると、「やばいかも」と肌に感じる雰囲気。思わず、車のドアのロックを確認したくらい。この地域は、日本人向けの観光ガイドブックにも紹介されていますが。ちょっと、まずいかも。整備そのものは頑張っているのですけどね。需要が付いてきていない。
日本では、ハウステンボスの引き取り手探しが進められていますが、あそこも、建物は立派なのに人が居ない。それと同じ。
でも、日本では人が居なくても、安全性は関係ありませんが、こちらでは、そうはいかない。
おそらく、タンパとしては、観光需要をつくり出すことで、賑わいをつくり、治安などの環境面も改善しようという戦略なのでしょうが、力不足という印象でした。
それだけでなく、業務エリアも、本当に、人が居ません。ゴーストタウンのよう。これはオーランドでも同様の部分があるのですが、用途純化をしすぎた町は、平日と休日で人の賑わいがまったく変わってしまい極端な状態になってしまいがち。この辺は、米国的都市計画の欠点でしょう。
まぁ、いろいろあります。
写真は以下に
http://picasaweb.google.com/i.youichi/091122#