Discussion of Destination Branding.

オーランド182日目 〜旅行会社の「機能」を考える

私は以前、 「パッケージング」という機能 というタイトルで、以下の投稿を8/13におこなった。
http://www.resort-jp.com/ppBlog17/?UID=1250214080
ここで示している リソース−>パッケージング−>デリバリーという流れは、バリューチェーンの一つの形態であり、これらが、連鎖的に価値を増大させていくことが重要と考えられている。
昨日、投稿したように、現在、既存の旅行会社は厳しい状況にある中で、ネット系の旅行会社は健闘しているという話は少なくない。
しかしながら、8/13の投稿記事でも示したように、ネット系の旅行会社は、基本的に、前述したバリューチェーンの中で、「リソース」と「デリバリー」を直結させるものであり、パッケージングの部分は抜け落ちた状況にあることには留意が必要だろう。
本来、価値を相乗的に高める事が期待しうるパッケージング部分が抜け落ちることは、結局の所、個別要素(リソース)での比較、勝負となり、私の言う「因数分解の魅力:ゲシュタルト」とは真逆の状態に陥ることになる。これによる消耗は少なくないだろう。
また、顧客の立場からしても、「安くなる」ことは嬉しいことだとしても、価格に見合う価値があるかどうかということが最終的な判断材料となろう。旅行というのは、様々な因子が複雑に絡みあう活動、経験であり、それら全体を経験した上での「感想」が、CSなりロイヤリティにつながるからだ。
そうした中で、興味深い調査結果を得た。
これは、2009年の9月に沖縄県の宮古島で来島者に対して行われたアンケートの結果である。フロリダにいる私が、日本の沖縄の宮古島のアンケート分析を行っているというのは、いささか奇異な感じもするが、宮古島とは2004年に一年間、来島者調査を行っていらいのつながりがあるのだ。 http://www.miyako-net.ne.jp/~kankou-1/tyousahoukoku.htm
さて、今回、9月に行った調査では、いくつかの仮説をもって調査に当たったが、その中の一つが、旅行会社の利用有無によるCS/ロイヤリティの違い。その結果は、以下のような感じである。(いずれも、統計的に1%水準で有意)

  • 初来訪者は「旅行会社の店頭申し込み」であればCS/ロイヤリティがあがる
  • リピーターは、「旅行会社のWEB申し込み」でCS/ロイヤリティがあがる
  • 初来訪者、リピーター共に、「個人手配」は、CS/ロイヤリティが下がる

この結果は、まさしく、「パッケージング」機能の重要性を示しているのではないだろうか。
宮古島は、美しい空、砂浜、そして海を持つリゾート地であるが、一方で、テーマパークのように至れり尽くせりな整備がされているわけではない。限られた時間の中で、楽しい所、綺麗な所を巡り、滞留し、充実した体験を得るには、周到な計画立案が欠かせない。ただ、行けば、充実した体験がまっていてくれるなんてことは無いのだ。これは、多くの観光リゾート地で共通だろう。
しかしながら、いくらネットが発達したと言っても、顧客自身が情報を収集し、取捨選択し、それを元に自ら計画立案し「パッケージング」することは容易なことではない。
こうした中で、旅行会社が介在し、情報を集約した上で、一定水準以上の宿泊施設、食事施設、オプショナルツアーの紹介、レンタカーの斡旋など「パッケージング」することが、初来訪者の経験を豊かなものにしているのだろう。というのが、本結果である。
リピーターに関しても、WEBでの申し込みでCS/ロイヤリティがあがる一方で、個人手配では下がることを考えれば、旅行会社のパッケージング機能が、プラス方向に効いているということが解る。
こうした旅行会社のパッケージング機能は、地域にとって、とてもありがたい事である。
しかしながら、いつまでも、それに頼っては居られないというのも、また、事実である。今回の調査では、個人手配の比率は18%。まだまだ、圧倒的に旅行会社経由の方が多いが、この18%という数値は、イノベーション理論で言うところの急拡大期(アーリーアダプター・オピニオンリーダーから、アーリーマジョリティへの転換期)へと入っていく水準であるからだ。
つまり、おそらくは、今後、個人手配は大幅に増大していくこととなる。こうした環境変化に対応することなく、従前と同じ対応でいれば、CS/ロイヤリティが下がっていくこととなろう。個人手配で来る人にも、今まで、旅行会社が行っていたようなパッケージング機能を地域(リソースレベル)が提供していく必要があるのではないだろうか。それは、いわゆる「着地型旅行会社」とも、また異なる取り組みとなろう。
私は、それこそがDMOの役割であろうと考えているが。それは、また、別の機会に。

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