今日は、リーダーシップとマネジメント。
私は、夏学期で、リーダーシップの講義をとった。そこで、印象深かった事はいくつかあるが、その1つに、「変革時にはリーダーシップが必須」ということがある。なぜなら、変革時には、まず、皆が向かうべき方向が解らない。その方向を皆に示し、共有し、組織を戦える形に整えていくためのスキルがリーダーシップだからだ。なお、方向性そのものは、前日までに示した戦略やマーケティングから導き出される。リーダーシップは、そうした定められた方向性を、組織としての実行力につなげていくものである。
日本では、成功観光地の事例、法則として、よそ者、馬鹿者、若者といったことがあげられることが多いが、これは、それらの人たちが、「方向性」を示す事に貢献することが多いということが指摘できる。ただし、ここで示される方向性は、経験や勘に基づくものが多く、成功事例の背景には多くの失敗事例が横たわっていることは、容易に想像できる。
さらに、方向性が示されたとしても、実際に、その方向に向かって企業なり、地域が動いていくことができなければ、意味をもたない。これについても、実際の地域づくりでは、非常に大きな課題となる部分である。
米国の場合、そうした組織を動かしていくためのスキル「リーダーシップ」を、どのように備えていくのかについて、科学的な視点を交えた検討が行われている。
偶然性に依存するのではなく、リーダーシップという、個人的な資質に寄る部分が大きいと思いがちがスキルを、育てていく手法が検討されていることは、とても、興味深かった。
それも、ホスピタリティ産業を対象にしてである。
文化の違いもあるので、これらのリーダーシップ論がそのまま利用できる訳ではないが、こうしたアプローチは学ぶべきだろう。
また、マネジメントについても、絶品である。
こちらの「従業員」は、千差万別。彼らを束ね、事業を展開して行くために、繊細さと大胆さの絶妙なバランスを実現しているからだ。なにしろ、文化的背景どころか、言葉すらまともに通じない従業員をマネジメントしていくのである。
このマネジメントは、大枠として、マネージャー個人の資質ではなく、組織、システムとして整理して行ってしまうという点も注目できるだろう。言ってみれば、マネージャークラスですら、ばらつきが出やすいから、そのばらつき、特にしたブレを抑制するための組織設計、システム設計を行うと言うことだ。
このように、マネジメントを個人の資質ではなく、組織、システムの設計によって対応するということについても、日本において大いに注目すべき領域であろう。