Discussion of Destination Branding.

オーランド Quality Inn Plaza (クォリティ・イン・プラザ)

Quality Inn Plaza
今回のオーランド再訪において、最初に滞在(2泊)したのが、Quality Inn Plazaだ。
http://www.qualityinn-orlando.com/
このQuality Inn Plazaは、クォリティ・インというチョイスホテルグループのフランチャイズチェーンのブランドを冠しているが、私が研修で滞在したローゼンカレッジのローゼンさんが経営するローゼンホテルズの1つでもある。
米国では、ホテルを、その内容(顧客層)から明確なクラス分けをすることが一般的だが、このQuality Inn Plazaは、バリュークラス、すなわち、「価格が安い」ということが売りのクラスである。日本では、東横インとかスーパーホテルあたりを想定すると、大きく外さないが、様々な点で、異なっている。さらに、日本で展開しているクォリティイン、コンフォートインとも違う。
http://www.choice-hotels.jp/hotel/brand/
日本では、バリュークラスであろうと無かろうと、ホテルであれば、その基本的な建物の構造は大きく変わることは無い。すなわち、建物内に廊下がありその左右(施設によっては片側)に客室が並ぶ。客室は、ドアに近い方にバス・洗面があり、奥にベッド、そこに窓もあるという構造となっている。
一方、Quality Innは、廊下は外廊下となっている。板状のマンションの廊下を想起すると、大きくは外さない。そして、客室は、この外廊下側に窓とベッドが設置されており、バス・洗面などは、室内最奥に位置している。
つまり、ベッドから見える窓の向こうは、通路である外廊下なのである。当然、そこは、普通に、人が往来する。
これは、2つの問題を引き起こす。まず、ベッドと廊下が壁一枚であり、その廊下も外廊下であるということは、外部の騒音を拾いやすいこと。そして、もう一つは、プライバシーの問題だ。
もっとも、前者については、すくなくても、Quality Innでは、そこそこの防音性を備えた壁を有しており、外部でよほど騒がれなければ気にはならない。むしろ、キャスター付きのスーツケースや掃除道具入れなどが「ゴロゴロ」動く際に、床から伝わる振動音の方が気になった。これは廊下がコンクリートで、客室内もコンクリートにジュータン直貼りであったため、振動が伝わりやすいのだろう。
後者については、レースのカーテンとは別に、分厚い遮光カーテンが備えられているため、それを閉めておけば、外部からの視線は完全にシャットダウンできる。が、当然ながら、採光は不能となる。もともと、欧米のホテルは照明計画が、日本より暗めであるから、客室内の電気を全て付けても、「明るい」というところまでは行かない。
一方で、こうした構造であるが故の良さもある。
まずは、客室内に廊下部分が要らないと言うことだ。通常のホテルの場合、入り口からベッドルームまでは、(内)廊下となっている。しかしながら、米国版Quality Innの構造ならば、そうした廊下スペースが要らない。
結果、室内はかなり広くなる。私が体を張って(要は手を伸ばして)計測した感じでは、概ね25平米程度の面積となっている。日本の都市部では、シングルルームであれば狭いところは10平米以下、広さを売りにしているところでも20平米未満であることを考えれば、それだけでもかなり広い。さらに、廊下が要らないわけであるから、さらに有効面積は広くなり、実際、クイーンサイズのベッドを2つ並べても、まだ、別途、ソファーを設置できるくらいの余裕がある。親2人、子供2人なら十分以上の空間だ。
第2に、建設工事費が安く抑えられると言うことだ。下駄箱型と呼ばれる外廊下式の日本のマンションと異なり、Quality Innは、建物の両サイドに外廊下があり、客室はバス・洗面などの空間で、向かい合わせになるように設置されている。すなわち、自室のバス・洗面の壁の向こう側は、向かい合わせとなる反対側の客室のバス・洗面空間となる。これは、建物全体としてみると、水回りが一部に集中していることを示している。これによって、配管工事や、その後のメンテナンスがとても容易になる。日本のような内廊下で、左右に客室がある場合と比較すると、その差が解りやすい。こうした単純な構造であるが故に、工事費および維持管理費が安くなる。リノベーションも容易だ。こうした建物費用の安さは、そのまま宿泊料にも効いてくることになる。実際、この手のホテルは、一泊・一室で、$60もあれば、通常、泊まることが可能だ。食事などは付かないとはいえ、4人で泊まっても$60というのは、日本の感覚からすれば衝撃的でもある。
この他、Quality Inn Plaza特有のこととして、リノベーション後ということもあり、室内は非常に美しくなっており、クローゼット類も新しく重厚感のあるものが設置されている。一泊しかしない場合、こうしたクローゼット類は無用の長物だが、数泊する、それも、数人で泊まることを考えれば、こうしたクローゼット類の充実は嬉しい。その他、アイロン台(アイロン付き)もあったり、ベッドも、厚みのある堅めのマットレスの上に、柔らかい薄いマットレスが置かれた2重構造になっており、体に触れる部分は柔らかいが、全体としてはしっかりと支えるようになっていたりと、前述した部屋の大きさ(有効面積の広さ)も含め、連泊への対応度が高い。
さらに、電子レンジが備えつけである。さすがに、料理は出来ないものの、道路を挟んだ向こう側にはマツモトキヨシを大幅に発展させたようなドラッグストアがあり、そこで調達することで、軽食を楽しむことが出来る。食費は、必ず発生するものだが、リゾート地の食事は高く付きがちであるため、電子レンジが利用できる事は何かと便利である。
さらに、インターネットの無線接続(Wi-Fi)や、冷蔵庫、駐車場が無料というのも、同様に、ポイントが高い。これらが無料であることは、日本では当たり前とも言えるが、実は、米国の、中級クラス以上のホテルでは、細かく課金されることは少なくないからだ。
立地も特筆できる。Quality Inn Plazaは、オーランド(非ディズニー)のリゾート系中心部「インターナショナル・ドライブ」に位置している。同地区は、多くの飲食店(高価なものからファーストフードまで)や物販店、遊興施設などが集中的に立地しており、ユニバーサルスタジオやユニバーサルスタジオ系のウォーターパーク「ウェッティン・ワイルド」にも近い。アウトレットモールなどの大型ショッピングセンターへもタクシーを使えば、短時間でアクセス可能だ。レンタカーなどが無くても、いろいろと徒歩やタクシーなどで楽しみやすいエリアだと言えるだろう。ただし、シャトルバスが出ているとはいえ、ディズニーまでの距離があり、時間がかかる(ディズニーが主目的なら、同クラスのホテルだがディズニーに近い「コンフォートイン」がお勧め)。
このように、安く、広く、かつ、便利なQuality Innであるが、一部再掲にはなるが、難点も上げておこう。
前述したように、ベッド室が外廊下に近い位置にあるというのは、日本には無い構造だけに、落ち着きにくいと感じる人は多いだろう。窓も防犯上はめ殺しであるから、ばぁとカーテンと窓を開け放ち、採光と自然風を浴びたいという欲求には耐えられない。ホテルには屋外プールも着いているため、屋外の空気を感じたい場合には、プールに行くなどの対応が必要となる。部屋は、あくまでも「寝る」だけのところだと思うべきだろう。
もう一つは、ベッド室の広さに比して、水回りが小さめであるということだ。トイレ、バス、洗面がコンパクトにレイアウトされており、機能的はあるが、全体的に少々手狭であり、友人グループなどでの相部屋時には、少々、気を遣う必要があろう。ただ、日本の価格帯の低いホテルと異なり、「トイレ・バス」と「洗面」とは別れているため、友人がシャワーを浴びている間に、洗面室で顔を洗ったり、髪をとかしたりといった事は可能である。
3点目は、人的なサービスは期待できないということだ。ホテルに常駐しているスタッフの人数は、極めて最小限となっている。荷物を運んでくれるベルサービスや、ルームサービスなどは、期待できない。
4点目は、価格帯が故の、客層の問題だ。価格帯が安いと言う事は、それだけ、低額所得者層が多いと言う事になる。米国の場合、所得階層と行動様式、価値観などがかなり連動しているため、いわゆる庶民的な雰囲気になる一方で、スマートさには欠けることになる。また、非白人が多いことにもなる。別にだからといって、何か具体的な支障が生じるわけではないのだが、日本のような客層の均質性を前提としていると、面食らう部分があることは想定しておいた方が良いだろう。
なお、以上4点の難点は、別に、Quality Inn Plaza特有の問題ではない。実のところ、ディズニーが展開する同クラスホテル「オールスター」「ポップセンチュリー」も同様の問題をかかえている。よって、これらが受け入れられない場合には、中級クラス以上のホテルを選択する事が必要である。

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