熱海商店街

私は、平均水蒸気圧がCOVID-19の感染拡大傾向に影響していると考えており、東京都と大阪府について分析を行いました。

この関係が普遍的なものなのかを探るため、対象地域を北海道/愛知県/福岡県/沖縄県に拡大してみます。

まず、これらの地域(東京都、大阪府を含む)の9月以降の2W前比をグラフにすると、次図のようになります。

この図から、まず言えることは、実は、東京都は他地域に比して感染拡大が抑制されているということです。

東京都は、9月以降、11月下旬と1月上旬に感染拡大となっていますが、これは他の地域でも同様です。その上で、他の地域は、この2つのタイミング以外でも感染拡大のピークがいくつも出来ています。最も、顕著な違いは直近の4月上旬でしょう。こうした他地域での動きと比較すれば、東京都は、この半年あまり、相対的に感染を抑制してきたと言えます。

これは、グラフの対象期間を9月から11月末までにすると、さらにはっきりします。

東京都は、11月中旬にピークを作っただけですが、他地域は、その他にもピークを形成しています。

もっとも、東京都は人口規模が大きく、ベースとなる感染者数(陽性確認者数)も多いため、絶対的な感染者数は多くなります。人数が多くなれば、クラスターによってまとまった感染者が出ても、全体の動きの中に吸収されてしまうということは想像できます。東京都に次ぐ大阪府が、他地域よりも東京都に近い動きをしていることも、その「仮説」の傍証となります。

ただ、他地域でのピークは収束するまでに月単位の時間がかかっており、単発のクラスターだけでピークが作られているわけでもありません。東京都の感染拡大傾向が安定して推移していることは、それだけ東京都での防疫体制が他地域よりも安定的に推移しているとも言えるでしょう。

このことは、平均水蒸気圧との関係を見てみるとわかります(期間は9月1日〜11月30日)。

対象地域での平均水蒸気圧と2W前比との関係をプロットすると、そこには2つの傾向線が見えてきます。

平均水蒸気圧が5〜35ヘクトパスカルまでをカバーし、2W前比が相対的に低い「傾向線A」と、概ね15ヘクトパスカル以下で形成され2W前比が高く立ち上がる「傾向線B」です。

少々見にくいですが、東京都は概ね傾向線Aの中に収まっています。一方、他地域は平均水蒸気圧が下がったところで、傾向線AからBへ、感染拡大傾向が切り替わっています。これによって、2W前比は1.5〜2.0を上回るような感染拡大を引き起こしています。

この結果から3つのことが指摘できます。

まず、1つ目は、平均水蒸気圧と2W前比との間には、かなり強い関係性があるということ。

2つ目は、平均水蒸気圧が15ヘクトパスカルを下回ると、感染拡大傾向が強まることがあること。

そして、3つ目は、東京都に比して他地域は、乾燥し、感染が拡大しやすい状況になると、ドンと感染拡大しやすい傾向にあることです。

すなわち、基本的には、平均水蒸気圧が感染拡大傾向に影響するものの、地域の防疫体制の水準によって、乾燥が進むと感染拡大がピーキーに生じやすくなるということです。

防疫体制との関係という点でみると、沖縄県は、かなり異質な動きとなっています。

見やすいように東京都/福岡県/沖縄県をプロットしてみると、沖縄県だけ、平均水蒸気圧が高い状態でも感染拡大が生じていることがわかります。

沖縄県については、乾燥が進まなくても、特に感染が拡大しやすい要因があると考えられます。それが、多湿な地域であるにも関わらず、感染ピークを複数回形成している原因でしょう。

沖縄県については、別途、分析が必要なようです。

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