脱獄的な意味ではなく、米国扱いのアップルIDを作る必要が発生しました。
以下、個人的な備忘録を兼ねて。

アップルは決済口座の国籍で、国地域指定を行っており、米国扱いにするには、米国内での決済方法、具体的にはクレジットカードが必要です。ただ、この「米国発行のクレカ」を得るのは、日本に住んでいるととても難しい。

が、PayPalが決済手段に追加。以下のサイトを見つけ、これなら、いけるかも…とチャレンジしてみました。

PayPal海外アカウントの作り方 – アメリカ限定サービスの決済が可能になる!

結論から言うと、このやり方は2つの点で駄目でした。

まず、このサイトが紹介しているNextplusは、確かにSMS受信できますが、PayPalサイトで番号を入れてからSMSが来るまでに30分くらいかかります。セキュリティ上、コードの有効期限は10分なので、この認証が通りません。

いろいろ検索していたところ、以下のサービスを発見。

Dingtone —Get a real phone number for unlimited calls & texts

Nextplusは、無料で使える…というのが売りではありますが、SMS受信の遅延や、いきなり出てくる広告など、かなり残念な感じ。試しに、クレジット購入し、広告を外してみましたが、それでもSMS着信の遅延は変わらず。時間帯などにも寄るのかもですが、SMSはリアルタイム性が売りですから、実用に耐えません。

対して、Dingtoneは、番号を選んだ段階で課金されます(2021年8月時点で年間2600円、月額550円)。そのため、「本当に使えるのか?」という不安もありますが、契約してみたところ、こちらはアタリ。ちゃんと遅延なくSMS受信できます。ただ、ちょっとUIがわかりにくい。日本語での説明サイトも殆どないので、英語でちゃんと対応する必要があります。

で、ようやくPayPalの米国アカウントを取得できたのですが…。

取得したPayPalを決済手段として、アップルIDの地域変更をかけようとするとエラーに。

その後、調べてみるとPayPal登録のクレカが米国アカウントでないと駄目ということが判明。結局、米国発行クレカが無いと、米国のアップルIDは取れないというオチでした。

新規IDを決済手段無しで作る

ただ、これは既存のアップルIDを米国扱いに変えるという前提となります。

完全新規でIDを作るのでOKならば、やり方はあります。ただし、機能としては限定的。また、(おそらく)米国の携帯電話番号(SMS)は必要になりますし、登録住所の確保も必要になります。

完全新規でIDを作る場合に限り、決済手段の指定を入れなくてもIDを作ることができるというのがポイント。

地域指定を米国にして、アップルIDの新規作成を行えば、携帯電話番号の認証は発生しますが、決済手段は無し(NONE)でもIDが作れます。
※住所の登録は必要

ただ、決済手段が紐付けされていませんから有料サービスは利用できません(おそらくiTunesカードなどでのチャージは可能)。

また、自分のIDと統合はできないので、普段遣いはできず、利用に合わせてIDを切り替える必要があります。

古いiPhoneなり、iPadなりがある場合は専用機にすることも考えられますが。

米国のクレカ文化をセキュリティに

今回、いろいろ試してみて感じたのは、おそらくアップル社としては、米国の強固なクレカ文化を自社のセキュリティの一つとして使っているのだろうなということ。

アップル社は、一つの製品を世界中に流通させているわけですが、当然、国によって法律も違うし、政府との関係性も様々。情報技術は、安保にも関わるものであり、その取扱は注意が必要。かといって、チャレンジングなこともしかけていかないとイノベーションはおきない。

そうした状況で、ハードウェアとしてのiPhoneと、会員管理のアップルID、OS、アプリといったものを総合的に管理することで、安全性や合法性を確保しつつ、先端的な取り組みも実施できる体制を作っているのでしょう。そして、その一つの鍵が、(他者が与信するという)決済手段。特に、米国の場合、クレカの取得の運用は、かなりのハードルになりますから、これを元にすることで一定のフィルタリングができる。

いやまぁ、これだけのエコシステムを管理しつづけ、かつ、発展させていくってのは、信じられないくらいの労力と能力なのだなぁと感じました。

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