現在、遠くで雷が光っています。たいてい、この時間になると、どこかしらの方面は黒い雲が垂れ下がり、夕立が降ります。
ちなみに、この頃は19:30位まで明るいです。
さて、今日は、2冊目を読み続けています。Chapter5まで読んではいるのですが、統計技術の話になって整理が必要なため、今日のメモは、4まで。
Chapter3. Building the Lens of the Customer
顧客のレンズ(ここでは顧客を映す鏡、顧客を捉える視点という意味だと思う)を作っていくというのが本章。
まず、トラディショナルなマーケティングでは、顧客は目的が達成できたか否かが重要であったが、今日的には、それだけでなく、その目的達成にいたるさまざまな要素が決定している点を指摘している。
また、こうした「さまざまな要素」から考えるというのは、顧客が直面したさまざまな場面での対応から、満足度を考える「トランザクション型(transaction-specific definitions)」とも違うと指摘している。
このトランザクション型は、ちょうどよい訳が思いつかなかったのだが、その場、その場での対応状態で測るというもののよう。リッツカールトンなどで出てくる「おもてなしの瞬間」といったものだろう。
違う理由として、顧客の満足度とは、最後の(そのときの)経験だけで決まるのではなく、それまでのいろいろな経験や、ブランドに対する意識など全体的なもので決まるからである。としている。
こうした「全体的な」ものは、抽象的なものであり、測定ができないものであるため、測定できるようにする(今風の日本語で言えば「見える化」)ことが求められる。
その手法として、本書では、CIT(critical incident technique)を提唱している。
これは、インタビュー調査を基本的な素材として、満足度を左右する要因(Critical Incident)を抽出し、具体的な状況(Attribute)とそこから得る便益(Benefit)に普遍化していくというもの。
ステップは以下のようになる。(一部、省略)
- Access Company Knowledge 既存の調査や知見を整理する
- Initial Customer Visits 顧客の行動を新たな視点で初期化する
- Develop Interview Protocol インタビュー方式を決定する
- Select and Brief Interviewrs インタビュアーを選ぶ
- Arrange and Conduct Interviews インタビューを実施する
- Transcribe and Sort Responses by Level 回答を記録し内容別に整理する
- Sort by Attribute Categories 状況別に整理する
- Sort by Benefit Clusters 得られる便益でまとめる
なお、事例としてコンビニのCSで、以下のような、満足度を左右するSatisfaction Attributesがあがってきたとする。
- Accuracy of the checkout 正確な会計(計算間違いをしない)
- Friendlinesss the employees フレンドネスな従業員
- Attentiveness of the employee 丁寧な従業員
- Grooming and appearance of the employees 服装や髪型などが整った従業員
これらから顧客が得られる便益は、Quality of service というように整理する。
同様に整理した結果、Benefit Categoryでは、以下のような要素が例示されている。
- Quality of service
- Product offering
- Store layout
- Prices
- Cleanliness
- Convenience
- Safety
- Motorist servies
- Separate takeout food
こうした整理を行うと、顧客が満足度を左右されるような状況を整理し、組み替えてあげることで、供給者側が、結局のところ、どんな価値を顧客に提供しているのかが明確となる。
なお、こうした調査実施手法の流れ自体は、インタビューなどで得られた定性的な情報(文言)を、普遍化する流れとして一般的なものであると思うが、実際の調査にあたってのTIP’s的なものとして、以下をあげておく。
- 回答が一般的過ぎる(too general)場合には、聞き方を変え、追加質問をしてより具体的にする
- なぜ、それが必要なのか、重要なのかという理由もあわせて尋ねる
- 好きな点、嫌いな点は、それぞれ5から10くらい聞きたいところだが、顧客によっては、好きな点が5つも出てこない場合もある。その場合は、好きな点が出ていなくても嫌いな点を聞く。でないと、回答が一般的なものになってしまうから。
- 状況別整理などは、全調査票を対象にいきなり行うのではなく、10から20%くらいをランダム抽出して、それを対象に行い、その上で、改めて他の調査票を参照してはずしていないかどうかを検証する
- Critical IncidentからConcrete Attibute、そして、Customer Benefitsまでのツリー構造は、細かいケースまで含んでいると複雑になりすぎるので、おおむね80%くらいの事象が説明できればよしとする。
Chapter4.Building the Quality Satisfaction-Loyalty Survey
本章では、実際の満足度・ロイヤリティ調査の調査票やその実施手段の構築について触れられています。
この辺の具体的なやり方は、前著の「The Handbook of Customer Satisfaction adn Loyalty Measurement」の方と同様の流れであり、その際に具体的な記述をしているので、ここでは割愛する。
ただ、トピックス的なところで言うと、以下のようなことが述べられていた。
- 得てして「今の顧客」だけが対象となるが、過去や未来の顧客と現在の顧客とが構造的に大きく違う部分があれば、ミスリードする原因ともなるので対象者を絞り込む(セグメンテーション)時には注意すること
- 調査には、顧客に対して非直接的に接触(The Indirect Approach)と、直接的に接触(The Direct Approeach)の2種類(我々で言う、発地調査と着地調査)があるが、可能であれば両者を併用する
- 満足度の段数については、できるだけ多段階化する(できれば10段階)。(以前、2段階で聞いていた航空会社では、95%が満足と答えたという事例が紹介) ->前著でのバイアスと同様
まとめ
ここまでで、全150ページのうち、100ページまできました。
Capter5もある程度、読み進めているので、明日には、読了できると思います。
2冊読んできて感じるのは、やはり、調査票の作りこみの重要さ。過去との継続性を考えれば、同じ項目でいくのがよいのだが、一度、整理をしなおしたほうがよいのかなと感じ始めている。