オーランドの商業施設状況

今日は、午後から、アウトレット、ショッピングモールめぐりを行った。
先日、ピザム学部長とお話した際、地域の魅力には「来訪する際の主目的となるもの」と「来訪した際に満足度を向上させるもの」の2つがあると言われたが、オーランドの場合、前者は、テーマパークとコンベンションに大別できよう。
テーマパークは、よく知られているように、ディズニーワールドおよびユニバーサルスタジオ、そしてシーワールドという巨大なテーマパークが該当する。特にディズニーワールドはその巨大さと多様性は、群をぬいた存在である。
また、コンベンションについては、全米でもトップクラスの大きさを誇るコンベンションセンターを中心に、コンベンションホテルと呼ばれる(日本であれば、地方都市のコンベンションホールに相当する大きさの)コンベンションホールを有するホテルが複数立地している。
こうした主目的となるような要素の他に、テーマパークについては、3大テーマパークほかに、無数といってよい中小のテーマパークが存在しており、ゴルフ場や飲食店も多数立地しており、来訪した人々の多様な嗜好に対応し、その満足度を高めている。
その中でも、主目的となる要素に準じるくらいの位置づけにあるのが、複数ある「アウトレットモール」「ショッピングモール」の存在である。
もともと、アメリカは土地も建設費も、場合によっても人件費も安価であるため、日本に比して、商業床の経済的な閾値は非常に低い。そのため、ともかく、どこもかしこもショッピングセンター(もどき)だらけである。
そうしたショッピングセンターは、テナントが「埋まっていない」ことが当たり前であり、展開しているテナントであっても、日本では「これじゃすぐ閉鎖だろう」と思うような客入りでも、普通に、持続的に営業を行っている。(この辺の定量的な比較はどこかでやりたいと思っています)
さて、そんなアメリカですから、アウトレットや大規模な諸っピンモールモールのように、本来なら、少々、特別な商業施設であっても、日本よりも出店の閾値は低いらしく、複数、立地している。
そんなアウトレット、ショッピングモールの中から、今日は、3施設をめぐってみた。

プレミアムアウトレット

11.8:233:350:0:0:Premium Outlets:right:1:1::0:
まず、はじめに行ったのは、ディズニーワールドの近くに立地している「プレミアムアウトレット」
日本にも三菱地所が御殿場などで同名のアウトレットを展開しているが、そのオリジナル版である。
規模そのものは、小さくはないが、それほど、巨大でもない。正確な面積が解らないが、歩いて回った感じでは、千歳のアウトレットくらいだろうか。
このモールは、いわゆるブランドショップが多く入っていながら、安価なアパレル(靴やシャツ、サングラスなど)ショップも入居している。こうした構成は、後述する「プライムアウトレット」でも同様であり、こちらでの一般的なスタイルらしい。
感じとしては、軽井沢プリンスのアウトレットに近い。
いくらアウトレットといっても、高級品は高額であり、購入者は限定されるため、それだけでは、必要な「量」を呼び込めないのではないという判断があるのではないだろうか。ただ、ディスカウンターばかりでは、今度は、客層が変わってしまい、高額消費者を呼び込めないから、この辺のバランスは、とてもデリケートな問題なのだと思う。
テナント構成を除けば、日本に複数あるアウトレットとの違いは少ない。それだけ、完璧にコピーしたといえるのかもしれない。

フェスティバルベイ

22.5:350:233:0:0:Outdoor World:right:1:1::0:
次に行ったのは、一気に北上して、ユニバーサルスタジオに近い「フェスティバル・ベイ」というショッピングモール。ここは、カテゴリーキラー型のテナント(アウトドア用品、サーフィン用品など)や、映画館、子供用のジム施設などを要所に置き、それを専門店でつなぐという構成。ここは、屋内型であり、通路も屋内となるので、「暑くない」
屋内にも噴水施設があるなど、凝ったつくりの施設であるが、残念なことに「人がいない」。空き店舗となっている部分も多く、全体として閑散としている。
ただ、アウトドアショップだけは多くのお客さんが入っていた。私も入ってみたが、釣り、キャンプ用品、アウトドア用衣服などにとどまらず、野生生物の観察用の各種機材(木の上で待ち伏せするためのはしごとか、センサーつきの無人カメラとか)、釣りやレジャーに使えるモーターボート(2万ドルくらいでかなり立派なものが買える。ただ、船外機はなかったかもしれない)、狩猟用のアーチェリー、そして、本物の「ライフル銃」。
いやぁ、アメリカ的なアウトドアとはこういうことかと。久々にびっくらこきました。特に、ライフル銃だけでなく、その関連用品(銃弾だけでなく、スコープまで)の品揃えは、日本では考えられません。(あたりまえですが)
数年前のパンフレットとは、店舗構成が異なっている部分もあり、経営的にはかなり厳しい状態にあると推測されますが、このアウトドアストアは、必見ではないでしょうか。

プライムアウトレット

17.8:350:233:0:0:Prime Outlets:right:1:1::0:
最後に、フェスティバルベイのすぐ近くにある「プライムアウトレット」に行きました。
このプライムは、はじめのプレミアムに全体的な雰囲気(色使いや建物の形状、動線など)も、テナント構成も似たものである。ハワイのアウトレットも似たような感じであったので、どちらがどちらを真似たということではなく、標準的なスタイルなのかもしれない。
ただ、こちらのほうが、規模は大きく、かつ、集客数も大きい。アメリカに来て、駐車場がいっぱいで停める場所がなかなか見つからなかったのは、初めての経験。16時を回っていたので、ユニバーサルスタジオなどからあがった人々が集まってきていたのかもしれませんが、びっくりしました。
私、個人は、アパレル系のブランド品には、ほとんど興味が無いので、プレミアムとプライムの細かいテナント構成の違いなどはわからないが、こちらのプライムのほうが、よりブランド系のショップが多い感じである。

感想

これら3施設を巡っての感想だが、前述のように、私個人としてはアウトレットなどで扱っている商品に、もともと、あまり興味が無いという致命的な弱みを持っている(笑)ので、あまり、ちゃんとした論評はできない。
ただ、集客施設として商業施設を見れば、以下のようなことが言えるだろう。

  • 「買い物」は、洋の東西を問わず、多くの人々にとって、人気のアトラクションである。つまり、アウトレットやショッピングモールの集客力は高い。これらの施設が多く立地していることは、オーランドのディスティネーションとしての魅力を間接的に高めることにつながっているだろう。
  • ただし、人が集まる施設とそうでない施設との違いはかなりはっきりしている。これは、供給量(施設数)が多いこともあるが、基本的に、顧客が興味関心を持つようなテナントをいかに組み合わせることができるか、それで全体として魅力をどのように出せるのかがポイントなのだと考えられる。すなわち、全体の企画力、マネジメント力が重要だということだ。
  • 日本よりも商業施設出店に当たっての閾値の低いアメリカでもこの状況なのであるから、日本においては、より高度な施設設計が必要であろう。(参入の障壁が低いがその後の競争が激しい環境と、参入障壁は高いがそれだけにその後の競争はさほど厳しくない環境、どちらがよりラッキーなのだろうか)

例によって、写真はPIcasaを参照ください。
http://picasaweb.google.com/i.youichi/OutletsMallsInOrlando20090613#

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