今日は、運転免許対策で、大学の人に、滞在証明書を出せないかとお願いしたり、大学のパソコンのアップデートをお願いしたり、また、ランチにChoiさんと韓国料理屋にでかけたり、アマゾンに頼んでいたスキャナが届き、そのセッティングをしたりと、いや、まぁ、いろいろな事をした1日でした。
さて、今日から、2冊目に取りかかっています。前述のような事情で、あまり読み進めませんでしたが、とりあえず、全156ページ中の46ページまできました。ちなみに、20ページくらいまでは、以前、斜め読みしています。
今度のタイトルは、「Improving Customer Satisfaction, Loyalty, and Profit」というもの。端書きを見ると、ミシガンビジネススクールの教科書のようです。
Capter1.Creating a Customer Measurement and Management System
まず、Chapter1では、本書のテーマである品質と満足度とロイヤリティの関係について基本的な整理を行いつつ、後の章で取り扱う内容の紹介を行っている。
Is Your Company Talking a Systems Aprroach?
CSに関連する事項として、「商品、サービスの質」「顧客満足度」「顧客ロイヤリティ」の3つがあるが、これらをちゃんとシステムとして一体的に捉えていますか?という問いかけ。
それぞれをばらばらに考えている、事例として以下の筆者の体験があげられている。
あるフォーチュン100に選ばれる会社の役員が、1993年に「品質管理者あらため顧客満足管理者となった」と述べた。そこで、「品質管理はどうしたのだ」と尋ねたら、「あれは、もういらない」と。 そして、その5年後、再び、その役員にあったら「今は、顧客ロイヤリティ管理者だ」「顧客満足度管理はもういらない」と述べた。
面白かったのは、この事例を挙げたあとに以下のようにまとめていることだ。
Many business organaizetions are beginning to recognaize the need to avoid this “Book of the Month Club” mentality ….
辞書によれば、Book of the Month Clubは、「月例図書推薦会」となっており、意訳すれば、「その場の流行りものに安直に飛びつくのは避けるべきだと理解し始めている」となろう。
そして、本書では「to create an integrated customer measurement and management sysytem that will help you allocate resources and increase profits」のやり方を提供するとしている。
資源の配置と利益増大の支援するシステムとは、戦略レベルのものであり、今後の展開が楽しみである。
Pursuinf Success Through Customer Measurement and Management
顧客を計測し管理できるようなシステムを構築することで、持続的な成長の鍵を3つ獲得できる。
- 顧客の情報の一元化
- その情報を組織全体での共有
- 商品やサービスの維持向上、改善への情報活用
Lens of the Customer or Lens of the Organization?
こうしたシステム自体は存在していても、その着眼点が組織からのものになっていませんか?という問いかけ。
例えば、Lens of the Organization では、「客」「製品」「オペレーション」というような視点で見ているのに対し、Lens of the Cutomer では、「安全」「便利」「清潔」というような視点で見ているというような視点のずれを警告。
供給側と需要側で視点や言葉遣いにずれがあると、相互のコミュニケーション、計測に支障が出るので是正しましょう。としている。
確かに、この辺はとても悩ましい部分である。どうしても、我々は、供給側の言葉で考えがちであるので。
Linking Quality to Financial Perfomance
商品やサービスの「質」が、最終的に収益につながっていく流れ(チェーン)を意識しましょう。というもの。
ここでは、以下の4段階に整理している。
- Internal Quality, Production, and Maintenance Process
- External Quality, Value, and Customer Satisfacion
- Customer Loyalty and Retention
- Financial Performance: Cost Savings and Revenue Growth
この手の整理は、前著でもなされていたが、こちらの方が4段階でよりシンプルな形。
How Volvo and Sears Tailored Their Profit Models
ここで、ボルボとシアーズの例を挙げ、質の向上が収益の増大へとつながっていく流れを示している。
ボルボは、トップダウンによる強力なリーダーシップの元、評価の低かった自動車の品質(よくミッションが故障する<-私も経験済み)を向上(Improved Productivity)させ、平行して、コストダウン(Cost Reductions)も実施したために、自動車の値段も下がり、顧客満足度とロイヤリティを増大させた。このロイヤリティ向上とコストダウンが収益の増大(Improved Profitability)につながった。というもの。
一方のシアーズは、従業員の就労環境、意識を観察することで、従業員の維持を行い、結果、サービスや商品力を増大さえることで、顧客の関心を呼び、その維持や顧客の紹介につなげ、収益につなげた。というもの。(まさしく、サービスプロフィットチェーン/ここでは、employee-cutomer-profit modelと呼んでいる)
シアーズの場合、満足度が収益に直接影響し、ロイヤリティにも影響があったことが確認され、5ポイント、従業員の状況を改善したことが、1.3ポイントのCSを向上させ、それは0.5%の収益向上につながったとある。(従業員状況やCSの指標の詳細は不明)
Moving from Data to Proritized Decisions
次に、データをもとに、何からはじめるのかを考えるやり方について。
ここでは、横軸に満足度などを向上させるのに影響度の高さ低さ(High Impact/Low Impact)をとり、縦軸に現在の状況の高さ低さ(Strong Performance/Weak performance)をとっている。
この図でいえば、影響度が高く、現状弱い、第4象限がもっとも取り組みべきものということになる。
なお、この図自体は、我々も作成しているもの。(具体的にどの指標を使って、プロットするのかという違いはあるでしょうが)
A Plan for Creating a Customer Measurement and Management Sytem
顧客を計測し管理するシステムの計画にあたっては、5つの流れがあり、それがくるくると循環すると整理されている。
- Indentifying the Purpose(Strategy and Planning) –> Chapute2
- Building the “Lens” of the Customer(Qualitative Research) –> Chapute3
- Building the Quality-Satisfaction Loyalty Survey –> Chapute4
- From Data to Information(Data Analysis) –> Chapute5
- From Information to Decisions(Priority Setting) –> Chapute6
調査を行い、それを分析して、リソースを投入する分野を見つけるという流れは、前著でもなされているが、「戦略および計画」に明確に紐付けしているところが、本書の特徴といえよう。
Chapter.2 Strategy and Planning
第2章は、その「戦略と計画」である。
Build on a Quality Foundation
ここでいう「Quality Foundation」がどういう意味なのか、ちょっと不明な部分もあるが、質についての基礎部分を構築する。といった感じだろうか。
ここで、まず、宣言されているのは、質といっても、従来のTQM(total quality management)やCWQM(company-waide quality management)、TQC(total quality contorol)といったものとは一線を画し長期スパンで競争をしていくために、内面の質向上だけだけでなく、その質向上が外面、すなわち顧客にとっての価値へとつながり、満足度やロイヤリティ、収益につなげていくことを前提としたものだということだ。ということである。
そして、こうした視点に立つと質の管理については、大きく3つの戦略があるとしている。
- Benchmark Process and Output/他者の製品やサービスの内容を分解し、自社のものと数量的に比較し、注力点を見つける。
- Set Priorities for Quality improvement/前章で示したような影響度と現在の水準(パフォーマンス)を考え、注力点を見つける。(PIFと同じ考え方)
- Focus Your Resources/持っている経営資源の中で、その能力が発揮できていないものを明確にし、注力点を見つける。
いずれもいわれれば、まぁ、そうかなという感じ。うまくミッシーな感じになっているとよいのだが、漏れがあるような気もする。それについては、他の文献なども含めて後日整理したい。
Two Ways to Translate Strategy into Action
そして、組み立てた戦略を実際の行動に落とし込む手法は2つあると整理されている。
- Cutomer Policy Deployment
- Balanced Performance Measures
Customer Policy Deployment
顧客への対応方針を決めることで、行動に落とし込んでいくというやり方。
一般的(major)には以下のような構造となる。
- Mission and Vision (目的、理念の設定)
- Goals (具体的な計測することのできる目標の設定)
- Communication Strategy (目的や理念、目標の組織内での共有化、意識の統一)
- Priority Setting and Implementation (取り組みの順位付けを行い、履行する)
そして、前述したボルボとシアーズの具体例が、この階層にあわせて例示されているが、興味深いのは、両者の結果を比較すると、ボルボのほうが効果が高かったという点。
本書によれば、これは、製造業の方が、伝統的に「質の管理」を実践してきており、より強力に推進できたからであるとしている。サービス業でも、ディズニーや、Fidelity INvestmentsやUSAAのように、以前から質の管理を実践しているところもあるが、多くは、競争環境になかったために、その点に目覚めていないと指摘している。(製造業では、70年代、80年代に国際的な競争が激化し、目覚めさせられた)
ただ、サービス分野においても、インターネットの普及に見られるように、製造業と同様の競争環境はすぐに訪れるともしている。
この辺の指摘は面白いですね。日本でも、製造業などで培った工学的アプローチをサービス業に入れ込もうという動きがありますが、確かに製造業は、だいぶ前から苛烈な競争環境にあり、そうしたノウハウが蓄積されてきているのに対し、サービス業は局地財であったために、そうした意識が低いといえます。
Balanced Performance Measures(BPMs)
もうひとつの手法は、BPMsと呼ばれるもの。
これは、関連する各ステークホルダーを並べ、その相互の関係(トレードオフを含む)を整理していくことで、計画に落とし込んでいくというもの。
例示では、以下の4つの主体があげられている。
- Customer Perspective(Goals and Measures)
- Financial Perspective(Goals and Measures)
- Internal Business Perspective(Goals and Measures)
- Innovation and Learning Perspective(Goals and Measures)
前述の階層型のものは、いかにも米国的な戦略の形態であるが、実際に実践するには、強力なリーダーシップが必要であり、難しい場合も少なくない。
これに対して、こちらのBPMsでは、関係者の相互の関係をマッピングし、具体的な計画に落とし込んでいくというものであるため、実践しやすいかもしれない。ワークショップなどの材料としても好適だろう。
Breadth and Depth of a Customer Measurement and Management System
戦略をはじめたら(ここでも、顧客主体での質を向上させるための戦略”strategy of cutomer-driven improvement”と強調されている)それをどう計測するのかが問題になってくるとしている。
情報にはいろいろな分野であるという広がり(bureadth)と、どの程度の水準(depth)まで調べるのかという2つの視点がある。
System Breadth and Types of Customers
広がりを考えていく中で、まず、必要なことは、どのような主体の動向が、チェーンを駆動させ、収益の増大につながるのかを意識することである。
その際、競争環境にあり、顧客はそれぞれが自分たちで選択をしているということ意識しておかなければならない。一部の独占的な製品、サービスを除けば、顧客は購入先、消費先を自由に選択できる一方で、ちゃんと維持することができれば、多くの消費をしてくれるものであるということである。
これに関連して、自らの商品、サービスが、プッシュ型なのかプル型なのかを考える必要もある。
例えば、優良なサービスプロバイダー(例としてはFodelityが上がっているが、私はこの会社を知らない)では、ある地域ではとても強いブランド力を持っていれば、顧客は積極的に選択してくれる(プル型)が、違う地域でさほど強いブランド力を持っていなければ、小売店などに販促をしてもらう(プッシュ型)ことが必要となる。
このように顧客がどのような意識、状態であるのかを整理することはとても重要であり、顧客によって状況が違うので、マーケットセグメンテーションに注意をはらう(Pay Attention)すること。
ターゲットをセグメンテーションする基本的な流れは以下のとおり。
- ニーズや消費形態などから顧客をグループ化する
- それぞれのグループの特徴を、習慣やライフタイル、デモグラ情報などから明確にする
- それぞれのセグメントから収益、リスク、可能な市場規模(capaciy utilization)、獲得に必要な基本的な能力(core competencies required to serve the segment)を明らかとする。
- 以上から、対象となるターゲットを戦略的に決定し、それらが、計測し、分析し、管理する対象となる。
その上で、それらの対象となるターゲットに関する情報をどこまで集めるのか?という問題が出る。満足度は多様な項目によって構成されており、それらには、各社では対応できない外部要素もあるためだ。この点については、後の分析、管理と密接に絡んでくるため、後述する。
もうひとつ、覚えておいてほしいのは、計測システム(measurement sysytem)は、成長(incremental/evolutionary)にも発展(innovative/revoluitonary)のどちらか、もしくは双方に対応できるものであるということ。
Revolution or Evolution?
ここは興味深かったので、原文を引用しつつ。
我々は業務に入るときに、しばしば、持続的な成長改善よりも劇的な発展のほうがよいですかと尋ねる。
We are often asked when to engage in Revolutionary innovation rather than more evolutionary continuous implovement.
もちろんこれは、どちらかに注目して、どちらかを排除させず、どちらもバランスをとるためのものである。
The key, of course, is to avoid focusin on one to the exclusion of other, but rather to balance both activities.
ここで、トヨタのkaizenを作り上げた今井さんの話として、持続的な成長改善には3つの要素のバランスが必要。すなわち、製品の品質、サービスの品質、そして製造過程の品質の3つである。そして、そうした持続的な成長改善活動が、発展(innovation)につながるのだと。この今井さんは、成長にだけ注目するのは、劇的な変化を起こし、競合者をごぼう抜き(leapfrogging)するという誘惑であると指摘する。これは、持続的な成長改善で会社にもたらされる長期間の収益を無視する(ignore)ものである。
この3つがバランスしたとき、結果として、競合者にものすごい(formidable)アドバンテージを有することができる。
その好例はディズニー。持続的に新しいキャラクターを生み出し、テーマパークでは常に新しい取り組みを行うと、同時に、顧客経験のために、すべてのステージの改善に取り組んでいる。これらのコンビネーションが、伝説に残るようなサービス組織を作り上げた。そして、その組織が、質の元を作り上げ、かつ、自ら常に(regular basis)作り直し(reinvent)ている。
今日のまとめ
最後に、成長と発展の概念が出てきたのは、とてもびっくりした。某S先生のオリジナルのフレームワークではなかったのかと。うーん。
この最後の部分で、それまでのものは吹っ飛んでしまいました。自分自身、もう一度、ブログを読み返してから次に進みます。(笑