週末にはじめてWDW内のホテルに宿泊したことは、このブログでも書いた。
宿泊したアニマルキングダム・ロッジの特徴はいくつかあるが、まずは、ちょっと変わった視点から書いてみたい。
それは、テクノロジの固まりである。ということである。
まず、予約は全てWEBにて行える。これ自体は、日本でも良くある話であるが…。
ただ、少し異なるのは、その予約情報は、コンピューターシステムによって、WDW内の全施設にリンクされている事である。
例えば、ホテルにはゲートがあり、入場には身分確認が必要であるが、ゲートには、私の宿泊情報が来ており、免許証を提示するだけで、すでに用意されている私の記名入りの駐車許可証が発行される。
チェックイン時も、写真入りのID(通常は免許証、外国人旅行者ならパスポート)を提示するだけで、その他は、支払いカード用のサインをするだけ。住所や電話番号などを改めて記入する必要は無い。
そして、圧巻はルームキーである。見た目は、日本でもよくあるカード型のルームキーである。変わったところと言えば、磁気テープの他にバーコードも装備していること。記名式であること。宿泊日が記載されていることなどがあげられる。
では、何が、圧巻なのかといえば、このルームキーは、部屋の出入りだけでなく、テーマパークの入場券となり、飲食店や物販店の支払いカードとなることだ。
つまり、直営ホテルに宿泊している間であれば、ルームキー一つで、ほとんど全ての決済が可能であるということだ。
これの何がすごいのか?
宿泊に際し、宿泊者は、住所や年齢などの情報をホテルに提供している。そのため、ルームキーにテーマパーク入場チケットや決済の機能を持たせることで、個々人レベルで、どういった「滞在」を行ったのかを、自動的に収集できるのである。
例えば、7日間滞在の顧客が、5日券のチケットを購入し、そのチケットをいつ、どこのパークで利用したのか。さらに、そこで何をいつ食べたのか、何を土産として買ったのかといった情報が全て自動的に収集できるのである。
ルームキーは、個人別であるため、グループではなく、個人レベルでも追跡が可能である。例えば、親はホテルのレストランで食事を楽しんでいる間に、子供たちはテーマパークで遊んでいる。なんてことも解るのだ。
「個人情報保護」に敏感な日本だと眉をひそめたくなるような状況だが、実際問題として、1日に万人単位で顧客を向かい入れるWDWとしては、「個人」に関心があるわけではない。統計的に処理することで、マーケティングに活かすことが目的である。
例えば、非常に基礎的な話をすれば、属性別の消費単価の算出は簡単にできてしまう。さらに、そのばらつき(分散)に注目することで、同じ属性の中でも消費単価が高くなる要素を明らかにすることが可能である。消費額アンケートなどを実施する必要も無く、日々、非常に精度の高い情報が自動的に蓄積されていくのである。
これは、非常に強力な「武器」である。
それこそ、世界中から顧客が集まってくるWDWであるが、こうしたデータがあるからこそ、戦略的なマーケティングが可能となっていることを改めて認識するシステムであった。