ここオーランドで、ローカルのTVを見ていて気がついたことがある。
ユニバーサル(ウェッティン・ワイルドを含む)と、シーワールドは、かなりの量のTV-CMを放映しているが、WDWはそうしたCMが存在しないということだ。ディズニーは、複合企業であり、「ディズニーチャンネル」というチャンネルも有しているが、そのディズニーチャンネルをみていても、ほとんど、WDWなどテーマパークの話題は触れられてはいない。(時々、ドラマの中でその撮影場所や旅行先として触れられる程度。ディズニーチャンネル内のTV-CMでもテーマパークは宣伝されない)
値付けについても、ユニバーサルは、ローカル市場向けに非常に積極的な値付けを行っており、最安値ではなんと$149.99。シーワールドも同様で、2つのパーク(シーワールドとアクアティカ)の2日券が$74.95なのに対し、年間パスは$159.95、2年パスでは$249.95と、年間パス(2年間パス)のお買い得感はたかい。その代わり、1日券、2日券といったチケットは、フロリダ州民であっても、あまり安価にはならない。つまり、州民であれば、お得感の高い年間パスを買えということだ。
これに対し、WDWは、フロリダ州民向けの年間パスは$500を超える。それでも、州民外向けだと$700を超えるので、安価ではあるが、ユニバーサル、シーワールド、2つの年間パスを合わせた金額よりも高いというのは、あまり、広い対象に売るつもりは無いことを示している。一方、1日券、2日券は、比較的金額差が大きく設定されていると共に、フロリダ州民向けは、より自由度が上がっている。一般向けの1日券、2日券は、それが何日券であっても、使い始めてから14日間で失効するが、フロリダ州民向けは、六ヶ月有効となっているのだ。とはいえ、7日券で$200を超える価格設定であり、ユニバーサル、シーワールドの年間パスよりも高く、お買い得感には乏しい。しかも、WDWは、先日、値上げをしている。この時勢に値上げに踏み切るという判断はすごい。
もう一つ。従業員の構成だ。
私は、まだ、シーワールドには行っていないので、シーワールドがどうなっているかはわからないが、WDWとユニバーサルを比較すると、従業員は、明らかにWDWの方が国際的な構成となっている。もちろん、アジア系のアトラクションではアジア系の人を配置するといった「テーマ」に基づいた対応もあるが、その他、ゲストリレーションズはもちろんのこと、普通の物販店や飲食店の国籍も多様となっている。ちなみに、このように国際的な人員構成を実現するために、WDWは、例えば、別ブログで示したように、UCFとディズニープログラムを立ち上げ海外からのスタッフを確保したり、米国内の留学生(ホスピタリティマネジメント系には限らない)に卒業後の就職を働きかけるなどの取り組みを行っている。
これに対し、ユニバーサルは、基本的に「アメリカ人」によって構成されており、従業員構成にWDWのような国際性は見られない。ユニバーサルは、テーマ自体がアメリカと非常に強い関係をもっているために、そのテーマに基づくと、アメリカ人を主体となった構成となっているとも考えられるが、テーマとは必ずしもリンクせず、利便性が求められるであろう物販飲食点やゲストサービスでも国際性には乏しい。
この辺から見えてくるのは、WDWとユニバーサル(そして多分、シーワールド)とのマーケティングの違いだ。
WDWは、全米のみならず、海外から(チケットの高さにあまり来訪意欲を左右されない)「ディズニーファン」を対象に来訪者誘致に取り組んでいるのに対し、ユニバーサルやシーワールドは、(WDWを目的に)オーランドに来訪した観光客や、ローカル市場の取り込みに注力しているという事である。ユニバーサルやシーワールドのそれは、いわゆるコバンザメ商法とも呼べるが、それだけでなく、価格設定やプロモーション活動、そしておそらくは組織の人員管理において、明確に独自色を出しており、単なるWDW頼みではない点が注目されよう。