とうとう、170日目。うーん。残りわずかですねぇ。
さて、火曜日、水曜日とホテルを巡ってきたわけであるが、ここで感じたのは、Moderateクラスのホテルは、日本のホテルと同じような印象を受けるが、アッパーとなるDeluxe、またはアンダーとなるValueクラスについては、日米で大きな違いがあるように感じた。
今日は、そうした「クラス」について整理をしておきたい。
Valueクラスは、日本でも、90年代の後半から、バジェットタイプと呼ばれるホテルが多く出てきている。これらのホテルの多くは都市型のため、私が見てきた米国のValueクラス・ホテルとは単純に比較することは出来ないが、大きな違いは、「部屋の大きさ」である。
昨日、一昨日のブログからリンクを張っている写真を見てもらえれば解るが、Valueクラスでも、Deluxeクラスでも、ベッドルームの大きさは、あまり差は無い。もちろん、価格帯が上がれば、客室はそれなりに大きくはなるが、それは、バスルームとか洗面とかの「余裕」に充てられる確率が高く、ベッドルームの大きさ自体は、さほどかわらない。また、バスルームなどの大きさにしても、多少「余裕」が生まれるくらいの違いに過ぎない。正確に、面積を測っているわけではないが、おそらく、面積と価格との相関は、日本に比べて、米国は、著しく低いだろう。
では、米国におけるクラス別の価格差はどこに行くのかといえば、フロント、エントランスロビー、レストランなどのパブリックスペースの充実度に端的に表れる。Valueクラスのホテルは、これらのパブリックスペースは、必要最低限でしかない。(ただし、日本では高級設備のイメージがあるプールは、こちらではかなり低いハードルであり、Valueクラスでも備えていることが多い)
これに対して、日本では、クラス別の価格差は、客室の大きさに左右される場合が多い。バジェットタイプのホテルの多くの客室は、必要最小限の大きさであり、価格があがる(クラスが上がる)と面積が増えていく傾向にある。また、パブリックスペースの充実度は、クラスよりも、客室数に左右される傾向にある。もっと言えば、大型のホテル(旅館を含む)は、大型化する中で多様な客室をもち、価格レンジだけをみれば、ValueクラスからDeluxeクラスまで持っているようなものも少なくない。つまり、施設とクラスとが合致しない。こうした「クラス」が見えないというのは、日本のホテル、旅館の特徴ではないだろうか。
なお、米国では、客室設備は、上のクラスほど、「良いもの」を使う傾向にあるものの、単純にクラスでの整理は出来ない。例えば、Valueクラスには冷蔵庫があるのに、Moderateクラスでは無かったり、Valueクラスではインターネットが無料なのに、上のクラスでは有料であったりするからだ。日常的に利用するようなものは、Valueクラスの方が充実していて、空間に豊かさを質的に与えるようなもの(例:絵画、家具、照明デザインなど)は、上位クラスほど充実する傾向にある。この辺は、日本でも同様であるように感じるが、それ以上に、部屋の絶対的な大きさの違いが大きいため、設備の違いが目立たない印象がある。
このように考えてくると、日米で最も大きな違いがあるのが、Valueクラスであろう。日本のValueクラスは、上位のModerateクラスの相似的なサブセット版であるのに対し、米国のValueクラスは、Moderateクラスとは異なった思想で作られているからだ。その端的な例は、米国では(オーランドでは)、Valueクラスでありながら、大規模なホテルというのが少なくないことが挙げられる。
そもそも、所得階層別に人数を考えれば、所得が低い人たちの方が人数は多い。すなわち、本来であれば、Valueクラスこそ規模が大きく、Deluxeクラスは少数というのが適切であるわけだ。それが、日本では、大規模=高級という図式が一般化してしまい、Valueクラスの需要の受け皿に乏しかった。バジェット型の登場で、変わっては来ているが、それでも、多くのバジェット型は小規模であり、米国のそれとの違いは大きい。
それでも、日本でも、外資系(例:チョイスグループ)を中心に、米国型のValueクラスのホテルが各所で見られるようになってきているが、こうしたホテルが立地してくると、日本の既存のクラス構造は大きく変化することになろう。
さて、どうなりますか。