Discussion of Destination Branding.

オーランド51日目 〜システム設計意識の違い

こちらでは、レンタカーを借りて生活をしている。
多くの日本人にとって、アメリカの道路、高速道路というと「無料」という印象が強いと思うが、ここフロリダは、高速道路はむしろ有料の方が多い。
有料となれば、当然、料金徴収が必要となる訳だが、この考え方が日本と大きく異なっている。
まず、日本の場合には、入り口、出口にがっちりとしたゲートを設けそこで料金徴収を行う事が一般的であるが、ここフロリダの場合、ほんの一部をのぞけば、入り口、出口には料金所はない。かわりに、道路上に料金所があり、そこで、その区間の料金を支払うという形になっている。
ただ、こうした方式自体は、中央自動車の三鷹料金所や、伊豆などの有料道路にも見られる形態であり、フロリダ特有ということではない。
ただ、ここで意識の違いを感じるのは、「自動料金徴収」のシステムの違いである。
日本でも、休日1,000円効果もあり、ETCが急速に普及しているが、このETCは、従来、有人で料金徴収をおこなっていたものを、無人かつ無線方式に切り替えただけであり、ゲートそのものは存在している。
これは、鉄道も同様で、SUICAに代表されるようにICカード方式に切り替わっても、それは、従来、人が監視兼料金徴収をおこなっていたものを、無人化しただけであり、ゲートそのものは存在している。
ここにあるのは、ゲートを設置し、車両や人員は全てそこを通過させる事で100%監視し、それによって不正はさせないという設計思想である。
これに対し、フロリダの有料道路では、現金払いを行うゲートは、日本と同様の有人ゲートとなっているが、日本のETCに相当するシステム(SunPass and E-Pass)では、ゲートそのものが(基本的に)存在しない。普通に、道路を通過するだけで料金徴収が可能な仕組みとなっているのである。
もちろん、「通過するだけで料金を支払う」事ができるのは、対応した装置を装備している車両だけなのだが、有人ゲートに向かうのか、そのまま、本線を進むのかは、ドライバーの判断のみに依存しているのである。すなわち、装置を装備していない車両が本線を(料金を支払わずに)通過する事自体は、非常に簡単に出来てしまうのである。しかしながら、このシステムでは、通過車両のナンバープレートの読み取り装置を装備しており、料金を支払わずに通過した車両の持ち主には、後日、正規料金の数倍の請求が課せられる事になる。
日本のゲート方式と異なり、システムそのものは、ゆるやかなものであり、不正を行う余地は多々残っている。しかしながら、もし、不正を行った場合には、多大なペナルティを課すことで、不正を行う意思をくじけさせている訳である。つまり、便益と罰則とを明確にして、個人に自然と不正を起こさせないように誘導しているのである。
この他、車載機についても同様に、思想の違いが見られる。
ETCの車載機を搭載するには、車体とのひも付けを確実にするために、「セットアップ」という作業が必要であり、時間と費用が必要である。これに対し、フロリダのシステムでは、その辺で売っている車載機を買って来て、WEBサイトにて登録作業を行えばそれでOKである。もちろん、ここにも不正を行う余地はある訳だが、もし、それが発覚すれば懲罰的な課金がやってくることになる。
「不正を起こさせないシステム」に対する考え方が、大きく異なっているといえるだろう。
国民性の違いだけでなく、利用人数の違い、不正者の発生率、追加課金にかかるコストなど、様々な要素があるため、どちらがより効率的なのかという事を一概にはいえないものだと思う。
しかしながら、ETCでは、100%ゲートシステムにしているにも関わらず、不正利用は少なくないと聞く。これは、おそらく、不正利用者からしてみれば、不正利用したほうが「便益が高い」と判断しているためだろう。これは、日本の場合、懲罰的な課金が行われないからである。不正利用が発覚し、個人が特定され、請求される確率自体が低く、かつ、請求されたとしても正規利用した場合の費用+α程度の請求であるのであれば、システムの裏をかく事に注力したくなるのは当然ともいえる。
そうなると、システム側では、裏をかかれない仕組みを構築しなければならず、しかも、その仕組みは全てのゲートに導入しなければならない。これは効率的とはいえないだろう。
実際、ETCは純技術的には、時速80km、仕組みさえ整えば、180kmでも料金徴収が可能なのである。
http://www.mlit.go.jp/road/20011116/nikkei.html
しかしながら、実際には、料金所での安全を確保するために、20km以下での通行が求められ、あまつさえ、バーの開閉速度を「遅らせる」ことで、通過速度を低減させるという、利便性とは逆行する方向へと向かっている。
「多機能すぎて」高額となったはずのETC車載機がその機能を発揮する事が出来ない一方で、フロリダでは高速での通過が可能でありながら、数千円で買えるというのは、皮肉な結果とは言えないだろうか。
なお、日本でも、懲罰的な課金というのは、存在する。例えば、駐車違反などは好例だろう。駐車禁止場所で罰金が15,000円、これに、レッカー代が加わると30,000円コースである。都心部でも1時間の駐車料金は高くても1,000円であることを考えれば、「駐車場に入れよう」という合理的な判断が働く。
罪と罰の関係については、いろいろ考え方はあるのだろうと思うが。文化の違いなのか、それとも。

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