いろいろ国会方面はあわただしいですが。

それとは別に、気になったのが、この指摘。

OKN48

要は、単発のイベント開催に、国費を充当するのは適切な判断なのか?という問いかけ。

個人的に、イベントへの交付金や補助金投入については、宿泊税などの観光関連独自財源が無い状態では仕方ない。ただし、効果検証は必要という立場だ。

で、今回の件は、どうかと言えば、想定通り開催できていたならOKだと思う。

指摘に寄れば、開催費1.3億円に対して、3千万円が補助金として投入されている事になる。これは、行政サイドからみれば、仮に官主導の単独開催なら3千万円だったものが、民主導のイベントに乗ったことで、1.3億円規模、すなわち4倍以上に事業規模が拡大されたことになる。

民としても、予算規模が3割ほど増えることで、より付加的な部分に資金を回すことができたであろうと推察できる。

オフシーズン対策として考えれば、これはとても効率がよい。

さらに、予定通り、8,000人が来訪しているとした場合、実は、補助金は回収できている。

沖縄県を訪れる観光客の1人あたりの県内消費額は、概ね75,000円。これが、8,000人だと、総消費額は6億円となる。日本には消費税があるから、この8%は国税(一部、地方税)として回収されることになる。その額は4,800万円だ。

さらに、この事業によって各事業者があげる収益や、従業員の所得にかかる各種の税金を考えれば、税収への還元額は、さらに高まることになる。

つまり、国としては沖縄県を通じてではあるが、投入した3,000万円の税金が、1.5倍以上の額となって還ってくる事になる。わずか数ヶ月の「投資」と「リターン」であることを考えれば、メチャメチャ効率が良い。

効率が良いなら、民がやれば良いという指摘があるかもしれないが、6億円という誘発消費は、県内の多様なセクターに広く薄く落ちる。つまり、受益者はたくさんいるが、個々に別ければ利益は少なく、受益者負担は成立しない。

だからこそ、それらの代表者として行政が「公費」を使って対応することに意味がある。
指摘のコラムでは、ハワイの例があげられているが、ハワイのHTAは、宿泊税という「税金」を原資に活動する主体である。イベントごとに税金投入されるか、組織活動全体に投入されるかの違いであって、最終的には、投入した税金以上の経済効果をあげているのかどうかということが判断基準となる。

ただ、ではイベントへの公費投入は望ましいのかといえば、そうでもない。

まず、今回の場合、1.3億円のイベントで、地域全体としては6億円の消費誘発効果があるという効率の良さが大きい。同じ8,000人でも、宿泊などが伴わない人ばかりでは、ほとんど消費は誘発されないだろう。その意味で、沖縄という宿泊が必須となる地域だからこそと言える。

もう一つは、誘発した需要が既存需要とトレードオフにならないかという点である。今回は、オフシーズンに当てているが、それでも、当該期間の予約が取りにくくなっているという話は出ていた。仮に、誘発した8,000人の需要によって、航空座席や宿泊施設が圧迫され、それとは別に観光やビジネスで来訪しようとしていた人の需要を阻害していた(トレードオフになっていた)とすれば、その分の需要は差し引くことが必要となる。
実際には、オンシーズンにイベント開催するケースは多く、注意したい。

3点目は、実際に、このイベントによって8,000人の来訪需要を生み出せたのかどうかということだ。今回は、人数カウントしやすいイベントとの連動のため、人数目標は、それなりの精度があったものと思われる。ただ、多くのイベントは、人数カウント自体がいい加減であり、検証が難しい。

4点目はリスクマネジメントである。
今回について言えば、悪天候と重なり事実上、イベントは中止している。相当量のキャンセルも発生しているはずで、当初、もくろみ通りとはなっていないだろう。リスクマネジメントという側面から、こういう事態への対応が、どのように契約されていたのかという点については、検証が必要だろう。

5点目は、以前も指摘したように、地域のアイデンティティやブランディングとの関わりである。そのイベントがもたらすイメージが、地域のブランディングや、住民のライフスタイルに沿ったものなのかどうかという視点は重要だろう。公費を利用する以上、単なる商行為にとどまらず、地域そのものの付加価値向上との関係性についても検討が必要だろう。

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ただ、本件の指摘の問題は、交付金という自由度の高い財源を、観光という部外者には構造を理解しがたい分野に投入していることにあるように思う。
宿泊税のように継続的かつ安定的な財源を持ち、地域が、自主独立的に観光振興を展開していくことが必要なのではないかと「強く」思う今日この頃。

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