基本、インバウンドは「絶好調」ですが…少し、変化も生じています。
2018年9月は、5年8ヶ月ぶりに前年割れという報道も出ており、その原因として台風や胆振東部地震が指摘されています。
ただ、移動年計で見て見ると、実は春先くらいから、いきなりトレンド変化が起きていることがわかります。
同じような動きは、沖縄県でも起きています。
沖縄県の入域客数は直線的に増大してきましたが、2018年の春頃から頭が抑えられるようになっています。
いずれも、突然のトレンド変化であるため、私は、需要側の要因(例:飽きられた)というより供給側の要因(例:航空座席数、災害)と考えています。つまり、供給側でボトルネックとなっている問題が解決されれば、トレンドは元に戻るでしょう。
これは、私が「慣性の法則」と呼んでいるものです。
ただ、市場拡大は、民間投資において大きな判断材料となります。
現在の日本の観光振興は、幅広い人たちが「今後、インバウンドが増える」という認識をベースに持っており、それに基づき投資を行うことで、盛り上がっているという側面があります。
観光振興に参入している企業(資本)は、必ずしも観光そのものにコミットしているわけではなく、有望な成長市場として投資先に選んでいる「だけ」という企業(資本)も少なくないということは認識しておくべきでしょう。
仮に、移動年計ベースで横ばいが続くようになると、そうした企業(資本)が観光への投資熱を冷ましていくことも想定しておかねばなりません。
つまり、現在の状況が成長期から成熟期へのライフサイクル変化となるのか、一時的な調整となるのかは、供給側のボトルネックを短期で解消し、需要がちゃんと流れ込んでくるようにできるかどうかにかかっているわけです。
その意味で、日本としてはふっこう割は重要ですし、沖縄では秋冬の集客促進が重要となります。
こうした取り組みは、企業単体では難しいので、行政やDMOの「出番」でもあります。
一方で、人数は無限には増えません。また、人数は増えても、単価は低下傾向という状況も続いていることを考えれば、中長期的には、人数だけではなく、人数✖️単価を主体に考えていくようにすべきです。
現在でも、消費額のデータはありますが、人数ほど表には出てきません。観光の専門ではない企業(投資家)に理解してもらうことを考えれば、公式統計も人数ではなく、人数✖️単価を前面に出していくようにしていくことが重要なのではないかと思います。
統計データには、実態を把握するという側面だけでなく、社会的なマインドを左右させていく効果(影響)もあるのだということを意識しておきたいところです。