近年、国内資本のホテルが、外国資本(国際ブランド)のホテルへと切り替わるケースが増えている。

この背景には、我が国のホテル事業者の国際的な競争力不足(ブランド力不足)があるわけだが、こうしたリブランドが行われると、ほぼ確実にホテルに新設される設備が「フィットネス・ジム」である。

日本のホテル(旅館を含む)のほとんどは、ジムを持たない。
が、国際チェーンで、かつ、一定以上のブランドのホテルにおいてジムは、必須の設備となっている。そのため、リブランドされると、このジムが新設されることになるわけだ。もちろん、空間は有限であるから、新設場所が確保できなければ、何かしらの既存施設を潰して、ジムを設けることになる。

街中にジムが増えたとはいえ、多くの日本人にとって、わざわざ、既存施設を潰してでも、ジムを造る理由は、なかなか理解し難いだろう。

キロロのトリビュートホテルに新設されたフィットネス・ジム

ただ、これまでのホテルには存在しなかったが、外国資本(国際ブランド)になると必須となるという事実は、日本人と外国人では、宿泊施設一つをとっても、求める機能やサービスが異なるということを示している。

これまで、日本のホスピタリティ産業は、日本人が運営し、日本人を相手にしてきた。そのため、事業者側は自身の嗜好を延長させれば、顧客のことを理解することは難しくなかった。

しかしながら、外国人が顧客となってくると、日本人としての「常識」を元にサービス設計を行うと、的外れとなっていく可能性が高くなっていく。

顧客視点はマーケティングの基本と言われるが、表層的な嗜好をたどるだけではなく、顧客のライフスタイル、価値観にまで思いを馳せていくことが重要である。

なぜ、ジムが新設されるのかという疑問を持つことは、そうしたマーケティング思考のエクササイズとなるだろう。

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