先日、15年以上利用してきたNTTドコモから、ソフトバンクへと携帯電話を切り替えた。
直接の原因は、iPhone4が使いたかったということだが、なら、なぜ3Gや3GSの時に切り替えなかったのかといえば、両社に対する信頼感、コミットメントが大きく異なっていたということがある。
ソフトバンクの事業展開については、YahooBB!の無料モデム配布をはじめ、あまり、よい印象を持っていなかったからだ。
事業拡大のためなら、少々、問題が起きても構わない。急拡大させる中で、末端の販売員などの質までは管理し得ないからやむを得ない。というあたりの開き直りが、嫌悪感を抱かせたということがある。
ただ、見方を変えれば、googleも、まぁ、同じようなことをしており、世界中での競争にさらされている企業というのは、こういうものなのかもしれない。と思い始めている。
Twitterで、社長が、自ら情報発信をするようになったことも、こうした理解というか、納得感を持つ一助とはなっただろう。
他方、ドコモは、地道なアンテナ計画に代表される設備系の重厚さ。ドコモショップの(店構えを含めた)質の管理、派手さは無くても安心できるサービスの充実など、ソフトバンクとは対照的な動きに信頼感を持っていた。一時、au端末を二台持ちしていた時もあったが、事業展開スピードにムラのあるauに対して、ドコモは信頼できる安定性があった。
しかしながら、こうしたドコモから離れようと思ったのは、iPhoneをはじめとするスマートフォンへの対応である。
未だに、高度に特別な機能集約されたガラケーにこだわっていて、単純に私が欲しいと思う端末が無いと言うこともあるが、それよりも、私が信頼感を喪失するきっかけになったのは、ドコモ社長による「iPhoneをあきらめてはいない」という発言だ。
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20090730_306024.html
結果的には、3年にわたって、ソフトバンクの牙城は崩せていない。米アップルは、上場企業であるから、株主にとって不利となるような契約は、いかにジョブズと孫氏が「仲良し」であっても、維持していくことは難しい。にも関わらず独占契約が維持されていると言う事は、販売網などに弱みを抱えるソフトバンクが、ドコモ以上の契約条件を示していると考えるのが妥当だろう。
これは、ドコモが、本気で契約を取るつもりはないことを示しているともいえるだろう。
おそらくは、端末の製造メーカーを管理できないiPhoneは、ドコモの営業戦略上、非常にはまりにくいピースなのだろう。これを導入することによる効果よりも、デメリットの方が大きいという判断が働いていると考える事が出来る。
それはそれで、ドコモの判断だから構わない。と思っている。私が不信をもつのは、そうした事情を抱えているにも関わらず、「あきらめていない」と公式発言を繰り返すことだ。おそらく、この発言は、顧客のつなぎ止めを目的としたものだ。例え、iPhoneキャリアになることが難しいと解っていても「考えていない」「難しい」と発言してしまえば、「いつかはドコモでiPhoneを」と思っている顧客をつなぎ止めておくことが出来なくなるからだ。
「ドコモ おきらめていない iPhone」で検索すれば、公式発言に希望を持っている人が多いことが解る。
さらに、だめ押しは、iPodのsimロック問題。ここでも、ドコモは、「micro simを出す」と言っていながら、結果的には、SIMロックされて発売されたために消え去った。ここでも、普通に考えれば、「SIMロックされてくる」ということはドコモ側としても解っていた事だろうと推測できる。仮に解っていなかったのだとすれば、それはそれで、米アップルとのコネクションがあまりに補足、交渉相手にすらなっていないということになる。いずれにしても、ここでも「言葉」で期待をあおり、スイッチングを阻もうとしたわけだ。
おそらく、ドコモとしては、製造メーカーと連動できるグーグル携帯を本命と思っているのだろう。このグーグル携帯は、まだ、iPhone対抗には荒削りな部分があるが、オープンなだけに、かつてのWindows対Macのように、途中からぶち抜く可能性は低くない。さらに、現状のAppleは、ジョブズ氏のビジョナリストとしての能力に過度に依存している分、持続性という点では疑問も多い。
グーグル携帯の戦力が整うまでは、「期待を持たせつつ引っ張る」というのが、基本路線なのではないか?
とまぁ、これらは、私の脳内推測だが。これが事実かどうかはともかくとして、スイッチの理由になってしまうことを考えれば、「発言」は注意した方が良いのだろうなぁと思う。

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