AppleのCEO、ジョブズが、休養を宣言した。
近年、アップル製品にどっぷり浸かっている私としては、このニュースは大変ショックなものではあった。
しかしながら、「うん?待てよ」とも思う。
というのは、その直後に、過去最高の四半期業績を発表しているからだ。
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1101/19/news015.html
ジョブズは、ある意味、アップル最大のリスク要因となっている。彼の神格的な存在感が余りに強いからだ。
しかしながら、ジョブズであっても人間。いずれ、CEOとしての一線を退くときが来る。
おそらく、それまで、ジョブズはジョブズで居続けるだろうが、それは、リスクを先送りにしているに過ぎないとも言える。
となれば、アップルの成長を持続的なものにするためには、むしろ、早めに「ジョブズが居ない」という状態をつくり出し、それに、関係者を慣らしておく方が好都合ではないだろうか。
実際、今回は、ジョブズが休養するという、甚大な負の効果を、過去最高業績とCEOは続けるという正の効果で押しとどめることに成功している。
2月には、新しいiPodが出ると言われているが、このプロダクトデザインは、もちろんジョブズがしっかりとやっているのだろう。ただ、プレゼンの場に、彼は居ないということだ。おそらくは、今後、出てくるiPhoneなども同様だ。そして、ジョブズ抜きでも商品力を失わないなら、そのまま、フェードアウトしていけば良いし、やはり、難しいという事になれば、リリーフに駆けつければ良い。
これを、数年かけて、何度か、繰り返していけば、ジョブズはハッピーリタイアし、かつ、アップルは持続していくという事が実現できるだろう。
私は、このニュースに触れて、思い出したことがある。
それは、今日の由布院の基礎を造った溝口氏が、早々に引退宣言した際「俺は、助手席に乗っているから、道が解らなくなったら聞けばよい。でも、運転は君たちがしなさい」といった主旨の事を言って、後進にまちづくりのリーダーを譲ったということを人づてに聞いたことである。
現在でも、溝口氏は元気だが、由布院のまちづくりは、現在、その子供世代がリーダーとなり進められている。現在の由布院は、けっして順風満帆ではないが、偉大すぎるリーダーを、どのように世代交代させていくのかという事は、共通の問題なのだろう。