本記事は、私が事務局をしている「観光地マーケティング研究会(http://cs-t.jp )」のMLに投稿したものです。(一部、アレンジしています)
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オーランド151日目 〜外国人観光客を受け入れると言うこと
では、外国人観光客を受け入れると言うことは、単に観光客を受け入れることにとどまらず、観光地側も国際化していくのではないかという指摘をしました。
ただ、この指摘は、感覚的なものであり、定量的なものではありませんでしたので、少し、気になり、その辺、検証してみました。
利用データは、国勢調査の国籍別・都道府県別・外国人居住者数と、観光庁の宿泊旅行統計の国籍別・都道府県別・宿泊延べ人数です。
ただ、同じ国籍別と言っても、国勢調査では、香港もメインランドも含めて中国としており、台湾の扱いもよく解らなかった事や、その他の国についても、宿泊旅行統計とは必ずしも一致しなかったため、今回は「韓国・朝鮮」のみを対象としました。
結果、韓国人居住者数と、韓国人宿泊延べ人数との間には、有意かつ非常に高い正の相関が認められました。(相関係数:0.735/1%有意)
そこで、韓国人宿泊延べ人数をY(被説明変数)、韓国人居住者数をX(説明変数)とした単回帰分析を実施したところ、
Y=6.2×X+19350.0 (R2=0.540、決定係数およびXは1%有意、ただし、定数の有意水準は0.322)
という回帰式が得られました。
回帰式に基づけば、韓国人居住者1人あたり、6人泊分の宿泊需要が創造されていることになります。
ただ、都道府県別の韓国人宿泊延べ人数をみると、東京都と大阪府が突出した数値となっています。こうした突出した数値があると、それに引っ張られる形で、統計結果が変わってくることがあるので、東京都と大阪府を外して再検証してみました。
その結果においても、水準は下がりましたが、韓国人宿泊延べ人数と居住者数との間に、有意な正の相関が認められました。(相関係数:0.341/5%有意/ただし、韓国人宿泊延べ人数は、対数値)
以上より、統計的に見て、韓国人が多く住んでいる都道府県には、比例的に、韓国人宿泊客も多く来訪しているということが言えるでしょう。
もちろん、誤差はありますし、鶏と卵のような関係はあります。また、今回は、他の国籍については検証していませんので、韓国の事例が、他でも通用するのかは解りません。また、都道府県の全体値と、各観光地では、異なる部分もでてくるでしょう。
しかしながら、観光を国際化するという事は、地域社会も国際化することにも繋がる傾向にあるということは、地域づくりを考える上で、とても重要な視点なのではないでしょうか。

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