DMOを組織として存立させる4要素

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観光推進組織として「DMO」に注目が集まっている。
観光が置かれていている状況が「競争環境だ」という認識にたてば、DMOの活動として期待される観光地マネジメントやマーケティング機能は、普通の企業において、今時、経営部門やマーケティング部門が無い民間組織が存立し得ないように、その必要性について議論の余地は無い。

問題は、その機能を「組織」として存立し得るかという話だ。

民間事業者において、経営部門やマーケティング部門を存立させる際には、相応の予算、人員、そして権限、責任を付与する。これらいずれか一つが欠けるだけでも組織としては存立し得ない。これは、一度でも起業や、民間組織の経営管理部門として部門再編を行った経験がある人にとっては、自明だろう。

しかしながら、日本でのDMO議論では、DMOがどういう活動をすべきかという話は多く出てくるが、組織を存立させるこれら4要素に対しては、その必要性は指摘されるものの、その実現手法についての言及や、具体的な対応策は乏しい。

例えば、人材については「育成」が議論されるものの、その人材をどのように雇用するのかという話は乏しい。我々の多くが高校や大学に行くのは、学術的探求心というよりも、将来的な雇用を目指してのものであり、また、多くの実践的な知識や技術は、社会に出てからの経験学習によって獲得していることを考えれば、魅力的な「就職先」の存在は不可欠であるにも関わらずである。

日本において、組織に対する議論が出来ない、制度化が難しい理由はいくつか指摘できるが、突き詰めると「資金」の話になると思っている。

世界的に見て、DMOの財源は会費、補助金(委託金)、目的税型委託金、分担金の4種に区分できるが、日本には、事実上、この前2種しかない。他方、米国は目的税は広く広まっており、近年は分担金も広がってきている。4種の財源を組み合わせることが可能な米国と、前2種のみしかない日本では、自ずと出来ることに違いがでてくる。

ただ、欧州のDMOの多くは、日本と同様に会費と補助金が主体である。宿泊税を持っているところもあるが、一般税なので、それがそのままDMO財源になるわけではない。

それでもロールモデルとなるようなDMOが出てくるのは、観光に対するコミュニティの関わり方が大きく違うためである。これらのDMOは観光局形態をとっていることが多い事が示すように、観光振興が行政の地域政策と一体化している。そのため、補助金(委託金)が目的税型であるか否かは関係しないし、持続性が高いから人材も集まりやすい。

つまり、米国のようにDMOを民間組織として、展開させるなら、それに見合う独立性の高い資金が必要となるし、欧州のように行政に近い立場で展開させるなら、地域政策との持続的な一体性(住民理解を含む)が必要だということだ。

こうして整理してみると、現在の日本の議論は、位置づけとしては米国型を志向しながら、財源は欧州型という状況にあることが解る。

こうしたねじれ状態を解消し、仕組みを含めてパッケージで展開するようにしていくことが必要だろう。

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