回復時期が読めない

昨日(2018年9月12日)、経済産業省より北海道の電力回復についての見通しが発表されました。これによって、ある程度、余裕を持って電力を使える状態になるのは11月「以降」となることに。

引用記事でも指摘しているように、まだ確認されていない不具合が存在している可能性は否定できないし、また、現在、稼働させている発電所がトラブルを起こす可能性も否定できない。

年明けには、石狩湾に新設の発電所が稼働する見込みとはいえ、綱渡りな状態が続くことになる。現在、ススキノのネオンが「自粛」されているように、電力が切迫するとなれば、観光分野においても自粛が求めらることになるだろう。

今、必要なのは冬のインバウンド対策

こうした状態において、北海道観光において「今」必要なことは、冬のインバウンド対策であろう。

インバウンド客は、数ヶ月(以上)前から予約を入れて来るのが通常であり、まさしく、これからがその時期となっていく。この段階で、電力回復時期が見通せないという事実は、旅行先候補から北海道が「外される」可能性を高めることになる。

仮に11月に完全回復できて、明るい雰囲気を取り戻せても、その時点では顧客は違う旅行先を決めてしまっているだろう。その時点で、例えば「ふっこう割」を展開しても、インバウンド客への効果は限定的だろう。

近年の北海道観光がインバウンドによって「底上げ」されて来ていることを考えれば、これはかなり深刻な状況となる。

とはいえ、電力回復が見通せないのは事実であり、安易に「大丈夫です」ともいえない。
現時点で冬の北海道に出かけると決めることは、地域側も、顧客側も、一定のリスクを負った上での判断となる。

予約者に対するインセンティブを

この状況を踏まえれば、「現時点でリスクを負ってまで、予約を入れてくれる人」に対して、なんらかのインセンティブを設定することが重要だろう。

単純なインセンティブは割引であるが、仮に、電力回復が順調に進むと機会損失ともなり、ブランド毀損などの副作用も懸念される。

そう考えると、例えば、3泊したら2泊無料とか、3泊以上の予約者には1食分の夕食チケットをつけるとか、東アジア市場向けには宿泊料の2割相当の商品券をつけるとか、滞在期間中の道内の2次交通を無料にするとか、単純な割引では無いインセンティブの設定が有効なのでは無いか。

ともかく、リスクを負ってまで北海道に予約を入れようという人に、「わかりやすく応える」取り組みが重要だろうと思う。

しかも、この取り組みは「今すぐ」に行わなければ、時を逸することになる。

集客ロードマップについての意識共有を

これらの取り組みを実現は、ホテルやリゾートだけでは対応が困難なので、DMOなどがリーダーシップを発揮し、各方面とパートナーシップを展開することも重要となる。

こうした連携において重要となるのは、関係者の意識共有である。

インバウンドに限らず、ともかく観光客には来て欲しいというのが、現場の声であろうが、電力不足の中、どういった時間軸で集客していくことを目指すのかという基本シナリオ、ロードマップを作ることが必要だろう。

例えば、電力不足がほぼ確実となった秋の集客はどうするのか。

個人的には、この秋は道民に「奮起」してもらい市場をつなぐのが有効であると考えるが、北海道に対するロイヤルティの高い国内客(本州在住)の来訪も期待できるだろう。

例えば、ANA/JALが札幌便について、特定期間のみマイレージ座席の必要マイル数を減額するといったことは、今すぐできるのではないか。

ただ、時間も人員も限られている中、現場でできることは限定される。

地域として致命傷を負わないようにするには、どの時期の、どの集客が重要となるのかということを意識共有し、投入可能なリソースを、そこに傾斜配分するような取り組みが重要となるだろう。

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