「五輪が人流を増加させ感染拡大させた」という指摘が少なくないので、データを出しておきます。

グーグルによる商業施設(食料品など日用品を除く)の東京都での人出データをみると、五輪の開催に合わせるように、人手は減少しています。

だからこそ、8月上旬には感染拡大が横ばいとなり、その後、感染拡大率は減少へと転じているのです。コロナは感染の契機から陽性者として捉えられるまでに、2Wほどのタイムラグがあることを念頭に論じないと、分析も対策も意味のないものになります。

もっとも、五輪をTVで見るために人流が減った…というのは、多分、間違い。

単純に、新規陽性者が2000人近くまで達するという状態になったために、「そろそれまずいかも」と感じたのだと思います。もしかすると、人々が、五輪で更に感染爆発する!と警戒したのかもしれません。

一方で、五輪前は新規陽性者数が増えているのに、人手は減っていません(むしろ微増)。

ので、この段階において「五輪をやるんだから」という意識が社会に作用していたことや、五輪前であるために強い措置を政府や東京都が取れなかったことで、感染拡大の芽をつむことができなかったという指摘は、そのとおりかもしれません。

実際、過去の緊急事態宣言では発出と共に、人手量が大きく下がっていたのに、今回は、発出後も下がりませんでした。

これらを総じて考えれば、五輪が影響していないというのも、影響しているというのも、とり方の問題ではあります。

が、他国の例(わかりやすいのは韓国)からみても、感染拡大の主因はデルタ株。五輪は、一つの変数ではあった可能性はありますが、主因とは言い難いですね。

コロナ対応全般について言えることですが、コロナ感染は社会活動そのものと気象条件という大きなフレームの中で感染が拡大し、収束します。何か一つの事象を取り上げ、スケープ・ゴートにしても解決しませんし、ロックダウンのような強権的な措置でも終息しません。

何かを批判するのではなく、自分たちで、出来ることを考えていきたいところです。

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