Discussion of Destination Branding.

世界に繋がるホスピタリティ産業

固定的だった就業先と活動空間サイズの関係

観光産業とホスピタリティ産業の違いについて、先日、整理しました

あの整理は、対象とするサービス内容を軸に整理をしたものですが、そこに「働く」立場から見ることでも観光産業とホスピタリティ産業には違いがあります。

それは、ローカルからグローバルまでのスケール的な拡がりが、ホスピタリティ産業は非常に大きいということです。

グローバルな時代と言われますが、実際に、グローバルに活動できる人は限られます。
また、ブルーカラー、ホワイトカラー、ゴールドカラーとして整理できるように、活動する空間サイズは、ある種のヒエラルキーを伴っているのが現実です。

例えば、就労先を海外まで拡げようとした場合、海外に拠点がある企業に就職するのが「手っ取り早い」ですが、そうした企業は、いわゆる「大企業」であり、新卒一括採用が主体であるため、いわゆる高学歴者でないと職を得るのは難しい。

さらに、一般的にグローバル展開する企業と、ローカル企業では、同じ業種であっても、事業内容は大きく異なります。例えば、同じ電気機械工場でも鎌田の町工場と、パナソニックでは、もとめられるのは全く違います。そのため、ローカルからグローバルへの転職は一般的ではない。

すなわち、20歳前後までの学力で、人生の空間サイズが固定化されてしまう傾向にあります。

これは観光産業でも同様です。

例えば、JTBのような第1種旅行業者も、地域の観光協会のような第3種旅行業者も、同じ旅行会社ですが、その入り口もビジネスモデルは大きく異なります。JTBから地域の観光協会に行くことはあっても、その逆は(ほとんど)ありません。

これをJRと地方の3セク鉄道、LCCとFSCなどに置き換えても、同じ事がいえます。

ローカルからグローバルまで貫くホスピタリティ産業

ただ、ホスピタリティ産業では、少し、様相が変わってきます。

ホスピタリティ産業もグローバル企業とローカル企業に別れますが、ホスピタリティ産業の場合、グローバル企業であっても、ローカルに立地するという特徴があるからです。

例えば、沖縄県の恩納村は、沖縄県内でも大型ホテルが集積する地域ですが、ここにはシェラトン、インターコンチ、ハイアット(2018年夏)、ハレクラニ(2019年夏)など、グローバルなホテルチェーンが並んでいます。
恩納村は極端な例だとしても、インバウンドの増加にあわせて、国際的なブランドを掲げたホテルは各地に立地してきます。

これは見方を変える(視座を地域住民に置く)と、自分の生活圏(就労圏)にグローバル企業が立地していることになります。しかも、そのグローバル企業は人材募集しているわけです。

前述したように、従来、グローバル企業への就職は「狭き門」でした。乱暴な言い方をすれば、生まれた場所や20歳くらいまでの環境で、就職先は定まり、その後の選択肢も限定される傾向にありました。
しかしながら、気がついてみれば、自分のすぐ側にグローバル企業が門戸を開いている…というのが、今の地域の状況です。

「地方に、グローバル企業の就職先がある」というのは、トヨタやパナソニックの工場やJTBやANAの営業所が地方にあるのと同じじゃないかという指摘があるかもしれません。

確かに「地方でもグローバル企業に就職できる」という点では同じですが、その後のキャリアパスの拡がり、可能性が大きく違います。

例えば、トヨタの工場で、職人技的な技能を習得したとしても、マーケティングやファイナンス部門に異動することは「まず」無いでしょう。海外工場の技術支援・管理という可能性はありますが、それもトヨタの工場があるところに限られます。また、企業秘密の関係もありますからトヨタを退職して、他の自動車メーカーに転職するというのも、かなり細い線となります。

一方、グローバル展開しているホテルの場合、そのキャリアパスは、横方向(海外を含む他地域/他のグローバル展開ホテルでの就労)にも縦方向(現場スタッフからマネジメント部門への異動)にも拡がります。

しかも、このレベルのホテルチェーンは、eラーニングを使った人材育成プログラムが構築されており、就業しながら「学ぶ」ということが可能です。社内プログラムを超えた部分が出てきたとしても、米国の大学などが、eラーニングでのオンライン講座を充実させており、その利用が可能です。

つまり、就業時に特別な知識を有していなくても、働きながらスキルアップしていくことが可能です。特に米国系のホテルの場合、性別や年代、人種、学歴などでの「差別」は御法度ですから、地方在住であるとか、学歴が低いといったことは関係ありません。転職も一般的ですから、他のホテル・チェーンを含めて転身先も多い。つまり、現場で実績をつくりながら、eラーニングを使って、パフォーマンスを高めていくことで、キャリアパスは、どんどん拡がっていきます。

なお、実際には、所有と経営の分離が進んでいる為、就職先はグローバル・ホテル・チェーンそのものではなく、国内の不動産会社系列のホテル運営会社であることが一般的です。が、eラーニングのシステムは、利用出来ますし、そうしたホテルでの就業実績は、キャリアとなります。

ローカルの就業先でありながら、グローバルに繋がる。これは従来のキャリアパスとは「かなり違う」。これは地方在住/都市在住というヒエラルキーを崩す物であり、人生の選択肢、可能性を大きく広げることになります。

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