Discussion of Destination Branding.

データとグラフの読み方

KKOからの脱却

KKO、経験と勘と思い込みから脱却し、データをもとに、科学的、論理的に判断しようというのはよく言われる話です。

これは間違った話ではなく、必然的な話なのですが、このデータを「読む」ということが、ちゃんとできるか?というと、実は、なかなか難しい。なぜなら、データは、結構、簡単に嘘をつく。というかデータの加工や見せ方によって、印象が大きく変わるからだ。

データとグラフ

例えば、訪日客数の推移を見てみよう。

一般的には、こんな感じで年別、または年度別に描くことが多い。ただ、観光の場合、月別波動が大きいのだが、それはこうした年別の整理ではわかりにくい。
そこで、月別に分解すると、より細かく動向を見ることはできるようになる。

これによって、月単位で対前年の動向がわかりやすくなる。また、複数年を並べることで、中期的にどのように伸びているのか否かということも掴みやすくなる。が、月別の変動も大きいため、色々な解釈が成り立つことになる。
例えば、2017年2月を、どう解釈するかは、なかなか難しい。

では、以下のグラフにして見たらどうだろうか。
これは「移動年計」という集計を行いグラフ化したものだ。

移動年計とは、各月の過去1年分の総計を算出し、その推移を見ていくものだ。
この集計方法を活用すると、どの月であっても1年分の過去トレンドを示すことができるため、季節波動、月波動があっても基調となる変化を把握することが可能となる。

この移動年計を使うと、リーマンショック、東日本大地震後の2012年頃から訪日客が増え始め、2015年から2016年の春くらいまで、急激な伸びをした後、ややペースを落として、現在に至っているということが見えてくる。

そこで、2012年1月以降を取り出してグラフ化して見ると、前述の急増期(2015年から2016年春)がより明確に見えてくる。
さらに、2017年春には、一度、中だるみしており、2018年7月にも同様の動きが見られるといったことも見えてくる。

グラフから見えること

TALC、すなわち、観光地ライフサイクルという概念があるように、成長はいつか失速する。持続的な成長とは、この失速時に適切なギア設定を行い、再加速できるかどうかということにある。

移動年計が示すトレンド曲線は、この失速地点を予測するものとして活用できる。例えば、急成長が止まった2016年春は、現在の「明日の日本を支える観光ビビジョン」が策定された時期と重なる。実は、2015年の夏頃から、円高によってインバウンドは勢いを失いつつあり、失速の傾向が出ていた。その中で、明日の日本を支える観光ビジョンができたことで、ギアチェンジがなされ、次弾に向けた展開となった…という解釈ができる。

ただ、こういう分析自体、いささか恣意的である。
グラフ化する期間の切り方によっても、印象は大きく異なるからだ。

結局のところ、データはデータでしかなく、それに意味を持たせるのは分析する人間だということだ。データを読み解くには、一定の分析フレームに関する知識と、データの裏側にある数値の意味合いに通じている必要があることは理解しておくべきであろう。

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