先日、観光地のプロモーションはどこが行うべきかということについて整理した。

この元ネタとなった観光庁の検討会では、中間報告として、JNTOへの一元化を打ち出す方向となったらしい。

ある種、既定路線だったのかなという印象が無いわけではないが、以下で整理したように「格差是正」を念頭に置いた政策、つまり、国内各地にインバウンド客を満遍なく呼び込もうと考えた場合、情報発信の窓口を一元化をした方が効率的である。競争力のある観光地がもつブランドを、横展開できる可能性が高まるからだ。

ラケット理論の展開

ラケット理論を考えれば、単体ではデスティネーションになり得ない中小規模の観光地でも、より広域で地域設定し、その中での立ち寄り拠点/宿泊拠点として整理すれば、インバンドの受け入れを促進することが可能となる。

例えば、イギリスに「コッツウォルズ」という地域がある。ここは、絵本の中にあるような「イギリスの原風景」という美しい地域であるが、さすがに、これだけを目当てに日本からイギリスまで出かけることは難しい。実際、DMOのホームページでは英語やドイツ語など近傍の言語は専用サイトが用意されているが、その他はグーグル翻訳を使った簡易対応となっている。つまり、現地でも自分たち単体での集客範囲はEU程度と考えていることが伺える。
では、日本語で検索するとどうなるか。日本語で検索すると、ロンドン発のコッツウォルズ・ツアーが多く出てくる。日本人からすれば、コッツウォルズだけでは厳しくても、ロンドン滞在とセットとなれば、一気に現実的な旅行先となることがわかる。

こうした地域と旅行会社を繋ぐ役割をJNTOのような組織が担って行くことは、有効な取り組みと考えられる。

コンテンツ作りからのサポート

ただ、マーケティング・ミックスで考えれば、商品サービスを作り(Product)、値付けを行い(Price)、流通に乗せる(Place)という取り組みとプロモーションは不可分であり、地域は素材をつくり、JNTOがプロモーションすることでシナジーをあげるというのは、そう簡単なことではない。

プロモーションを集約するの出れば、商品サービスづくりのところ、地域素材の発見や商品化、事業化に対する支援をJNTOに持たせるということも検討しても良いだろう。

素材作りの段階から、市場動向を押さえておくことは、その後の商品化や事業化においても重要となるからだ。

こうした取り組みを行なっている例としては、ハワイ州のHTAがあげられる。HTAでは、単純なプロモーションだけでなく、ハワイ文化の育成や自然環境の保護といった活動への支援(community-programs)も行っており、その活動支援を持続性を持ったハワイ観光の魅力作りに繋げている。HTAが介在することで、通常なら、埋もれてしまい事業化が難しいような活動を、ハワイ全体でのコンテンツにして行くという効果も期待できる。

増大するインバウンド客へ対応するコンテンツを作るだけでなく、オーバーツーリズムに象徴される観光振興の負の効果も押さえ、持続性を確立させて行くことを考えれば、JNTOの役割を、もっと大胆に考え直すこともあって良いだろう。

競争力を持った地域は自立の方向へ

このように格差是正の観点に経てば、JNTOへの一元化はメリットも多いが、他方、JNTOに一元化されるというのは、自立的なデスティネーションとなっている地域にとっては足かせともなりかねない。

自立的に集客できる2〜3割の地域においては、JNTOに頼らずに展開して行くことが、これまで以上に求められることになるだろう。他の地域に埋没してしまったら、競争力は喪失してしまうかららだ。そのためには、自身でファンディングし、組織体を作り、世界の観光リゾート地域と戦って行く競争戦略を実践して行くことが必要となる。

地域において、こうしたメリハリが作れるか否かが、今後のポイントとなって行くだろう。

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