沖縄ですら世界的には「普通」

本サイトでも何度か取り上げている「沖縄県」。

ものすごい勢いで、かつ、持続的に観光客数を増やしています。このレベルで、右肩あがりというのは、国内では沖縄県しかありません。

しかしながら、この沖縄県ですら、世界的な国際旅客数の動向に乗っているだけ…といったらどう思われるでしょうか。

実は、国際的な旅客数も同様に、ガンガン伸びており、むしろ、沖縄の動向を上回るペースで推移しています。

そこで、国際旅客数をデフレーターとして使って、動向を整理すると、実は、絶好調に見える沖縄ですら、国際的な旅客数の推移動向に、ちょとだけプラス方向で推移しているだけだと言う事が見えてきます。

すなわち、国内では「絶好調」の沖縄ですら、国際的な視野で考えれば「標準的な」推移をしているのに過ぎないわけです。

更に言えば、ハワイ州と沖縄県の比較でも示したように、観光客数が増え、観光消費が増えることと、地域が豊かになる事には、直接的な関係性はありません。

リゾート要件というフレーム提示

このことは、観光で地域振興をしようと思えば、沖縄県並みに集客を増やしていきながら、ちゃんと、その成果を地域振興につなげていく仕組みもつくって行くことが必要であることを示しています。

この「事実」に、海外のリゾート地は気付いており、新しい戦略が作られてきています。
端的に言えば、観光振興は、ホスピタリティ産業の振興(産業政策)として展開され、更に進んだ地域では、観光による地域ブランド向上を地域全体の付加価値向上に繋げるようになっています(有為な人材移住を含む)。

参考:観光による地域振興の流れ

観光に注力し、観光客数や消費額が増えてきても、なぜか地域は元気にならない。
むしろ、人手不足が顕在化していく…というのが日本の状況ですが、海外では、それを回避し、地域振興のエンジンにしている地域が生まれてきているわけです。

こうした動向をふまえ、かつ、将来的な展望も加味して作成したのが「リゾート要件」となります。

■要件の詳細PPTはこちら −> リゾート要件20180329(PDF版)

ここでの考え方を一言で言えば、海外リゾートを「後追い」するのではなく、ちょっと「先」にゴールをおいて、それを戦略的な枠組みで達成しようということです。

既に四半世紀のビハインドを負っている状況で、後追いをしても、彼らはその間も前に進んでいくわけで、追いつくことは難しい。
さらに、いろいろな問題は、相互に関係しており、例えば、観光客が少ない−>観光客誘致をした−>消費額が少ない…というように、1つ問題を解決すると、新しい問題が出てくるという構造にあります。

その解決には包括的な対応が必要なのです。

事業途中で、同じような考え方であるSDGsが出てきましたが、SDGsは発展途上国も、工業地域、農業地域も含めた汎用フレームとなります。よって、SDGsと連動させる場合には、これを上位概念と起きつつ、「観光による地域振興」に関する具体的なフレームとして、この5つの要件を展開していく事をイメージしています。
※どちらも、事業目標年は2030年です。

宿泊税導入は突破口の一つ

5つの要件は、相互に関係していますが、戦略的視点において核となるのは「4.持続性を確保する仕組み」です。2030年を目指して、各種の取り組みを展開するにあたり、その取り組みを支える資金やデータ、イノベーションの仕組みを提示するのが、この要件となるからです。

その中でも、特に資金は重要です。2030年まで走り続けていける資金が無ければ、中期的な視点での取り組みは出来ないからです。

その意味で、2030年の目指すべき姿を地域で議論する中で、それに向けた取り組みを支える原資としての宿泊税導入をあわせて議論し、施行していくということが重要であろうと思っています。

インバウンド時代の観光振興財源(観光文化 238号)とあわせて、参照すると、より深く理解できると思います。

参考:観光文化238号の視座

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